2006-01-01から1年間の記事一覧

今年最も印象に残った10枚

今年も残りわずかになってきました、ということで一年の締めくくりとして今年も最も印象に残った10枚を挙げてみました。今年は新譜に限らず「当ブログでとり上げた盤」ということにしようかとも思ったのですが、そうしたら10枚に収めようとして収拾が付かな…

Giovanni BellucciのBerlioz/Liszt幻想交響曲

以前から本人の公式サイトには情報が載っていたGiovanni Bellucci(ジョヴァンニ・ベルッチ)のBerlioz/Liszt幻想交響曲ですが以前のエントリで書いたようにDeccaから一般リリースされ、私も早速購入しました。Berlioz/Lisztの幻想交響曲は非常に好きな曲で…

黄金時代のピアニストは現代のピアニストより優れている?

日頃思っていること第3弾。「ピアニストの黄金時代」という言葉があります。HofmannやFriedman、Moiseiwitsch、Cortotなど、現在では主にヒストリカル系録音で聴かれるピアニストが活躍する時代(20世紀前半)を指します。この頃のピアニストをやたら持ち上…

「ドン・ジョヴァンニの回想」はMozart作曲?

日頃思っていること第2弾。ドン・ジョヴァンニの回想でもフィガロ幻想曲でもよいのですが、これらは「Mozart作曲,Liszt編曲」(簡易表記ではMozart/Liszt等)などと表記されることがよくあります。が、私はこれにちょっと違和感を覚えます。すなわち「Liszt…

ピアノ演奏における「フランス的」とは?

実は先週末に引越しをしまして、まだバタバタしている関係で更新も延びがちになっています。そのせいというわけでもありませんが、今回は日頃思っていることの第1弾を。音楽の演奏でよく「いかにもフランス的な」などという言い方をしますが、アレってどうい…

Markus BeckerのBeethovenピアノソナタ第29&3番

Markus Becker(マルクス・ベッカー)というと、彼の弾いたゴルトベルク変奏曲はこの曲のピアノによる演奏の中でも3本の指に入るくらい好きな盤なんですが、その彼がBeethovenの29番と3番のソナタを入れた新譜をリリースしたということで購入してみました。…

El Bachaのロシア・ヴィルトゥオーゾ作品集

Abdel Rahman El Bacha(アブデル=ラーマン・エル=バシャ)による、'Russian Virtuoso Piano Works'と銘打ったアルバム。収録曲はRachmaninovの音の絵Op.33全曲、Balakirevのイスラメイ、Scriabinのソナタ第2番、Stravinskyのペトルーシュカからの3楽章。こ…

Jon NakamatsuのLisztアルバム

Jon Nakamatsu(ジョン・ナカマツ)のCDは、'97年のクライバーンコンクールライヴがあまり印象に残らなかったのでそれ以来ほとんどスルーしてきた(ただFossのピアノ協奏曲だけは曲に興味があったので買った覚えがある)のですが、今回はLisztアルバムで曲的…

Paul LewisのBeethovenピアノソナタ集Vol.2(続き)

(前回からの続き)今回の収録曲の中で特に印象に残ったのは11,28,29番。11番は初期ソナタの中では4番に次いで好きな曲(Beethoven自身もお気に入りの曲だったとどこかで読んだ覚えがある)で、第1楽章は例によって普段よく聴いているEl Bacha盤に比べると…

Paul LewisのBeethovenピアノソナタ集Vol.2

浜コンレポートについては一応区切りがついたので、ブログの方を再開です。Paul Lewis(ポール・ルイス)によるBeethovenピアノソナタ集のVol.2。全集となる予定なのに前回のVol.1を出してからなかなかVol.2が出ず、ひょっとして売れ行き不振でポシャってし…

KuzminのMacDowellピアノ協奏曲第2番ほか

気になるピアニストの一人であるLeonid Kuzmin(レオニード・クズミン)がMacDowellのピアノ協奏曲第2番とピアノソナタ第1番を入れた新譜をリリースしたということで、正直、MacDowellっていつの時代のどこの人だったっけ?、状態だったのですが(笑)、これを…

Andsnesのピアノ小品集’HORIZONS’

Leif Ove Andsnes(レイフ・オヴェ・アンスネス)によるアンコール用ピアノ小品集。Andsnesは割と好きなピアニストであるとはいえ、最初曲目をざっと見たときはもう一つ食指が動かないなぁと思ったのですが、よく見ると私の好きなSmetanaの「海辺にて」Op.17…

Babette Dornの’Don Giovanni -- Adventures on the Piano’

Mozartイヤーということでいろいろ企画物のCDが出ていますが、これは'Don Giovanni -- Adventures on the Piano'ということで、「ドン・ジョヴァンニ」に関して様々な作曲家による編曲や変奏曲などを集めたもの。特徴としては、序曲で始まり地獄落ちで終わる…

Duo Egri & PertisによるLisztの2台ピアノのためのオペラ編曲集

これも前回と同じくHungarotonのセールで買ったもので、Lisztの2台ピアノと4手連弾のためのオペラ編曲集。(一口に編曲といっても原題ではfantasy, reminiscence, transcriptionなどいろいろあるのはいつもの通り。)曲はドン・ジョヴァンニの回想、ノルマの…

Gyorgy OraveczのSchubert/Lisztさすらい人幻想曲ほか

先日渋谷の某CDショップへ行ったらHungarotonのLiszt物のセール(というほどでもないですが、普段は見かけないCDも並んでいた)をやっていて、フルプライスだったら二の足を踏むような盤でもこの値段なら、ということで2、3買ってみました。これがそのうち…

Claire Lefilliatreのde Lalandeミゼレーレほか

以前のフランスの古いシャンソン集のエントリで、Claire Lefilliatre(クレール・ルフィリアトル)の歌声をもっとたっぷり聴きたかったので別のCDを注文したと書きましたが、これがそれ。de Lalande(1657-1726)の「ミゼレーレ」と「ルソン・ド・テネブル」…

Christoph GenzのJ.S.Bachカンタータ・アリア集

S.KuijkenのOVPPによるJ.S.Bachのカンタータ集での歌いっぷりから、テノールのChristoph Genz(クリストフ・ゲンツ)にちょっと興味を持っていたのですが、ちょうどよいタイミングで(と言っても少し前ですが)別レーベルからJ.S.Bachのカンタータ・アリア集…

Sergio TiempoのChopinピアノソナタ第2番&24の前奏曲

以前のSergio Tiempo(セルジオ・ティエンポ)の記事へのコメントで、Victorの「ショパン名曲100」という6枚組の中にTiempoによるピアノソナタ第2番と前奏曲集が入っていますよ、という情報を頂き、6枚組にしては値段も手頃ということで買ってみました。ちな…

Garrick OhlssonのBeethovenピアノソナタ集Vol.1

Garrick Ohlsson(ギャリック・オールソン)のBeethovenピアノソナタ集Vol.1となっていますが、Vol.1なのはこのレーベル(Bridge)から出す予定の全集に関してで、以前Arabesqueからは29番と16番のカップリングなどが出ています。そのArabesque盤(29&16番)…

BellucciのLisztピアノ協奏曲第1番ほか

ノルマの回想が入ったLisztアルバム(編曲集)を聴いて以来、お気に入りのピアニストとなっているGiovanni Bellucci(ジョヴァンニ・ベルッチ)が新たにLisztのピアノ協奏曲第1番などを入れたCDを出したということで早速買ってみました。曲は他に死の舞踏(…

室内楽伴奏によるBeethovenピアノ協奏曲第3&4番

また風邪をひいてしまい少し間が空いてしまいました。以前にも書いたように私は一般に楽曲の演奏は編成が小さいほど好きで、そのため交響曲の弦楽五重奏版だとか、同じくピアノ三重奏版だとか、ピアノ協奏曲の伴奏を室内楽で行ったものとか、そういうものを…

LazaridisのLisztパガニーニ大練習曲&ロ短調ソナタ

CD聴き比べに載せているような曲でも、その好きさ加減というか、その曲のCDを見つけたときに買うかどうかの敷居の高さは幅があって、例えばノルマの回想のように、知らない人が弾いていたらとりあえず可能性を信じて買ってみる、というのものもあれば、夜の…

Sepec/SteierのBeethovenヴァリオンソナタ4&7番ほか

Daniel Sepec(ダニエル・ゼペック)とAndreas Steier(アンドレアス・シュタイアー)による、Beethovenのヴァイオリンソナタ第4&7番ほかを入れたCD。時代楽器による演奏ということで前から気にはなっていたのですが、4,7番はそれほど好きな曲というわけで…

Le Poeme Harmoniqueのフランスの古いシャンソン集

先日のエスクァイアの付録CD(Alphaのサンプラー)で、もうひとつ聴いてみたくなったのがこれで、フランスの古いシャンソン集。演奏はDumestre指揮のLe Poeme Harmonique、歌手はLefilliatre、Duist、Druetの3人です。2004年録音。なかなか面白かったです…

鈴木秀美/小島芳子のSchubertアルペジオーネソナタ

少し前のDarmstadtによるSchubertアルペジオーネソナタのエントリに対するコメントで、鈴木秀美氏のアルペジオーネソナタは5弦のチェロ・ピッコロを使っていて興味深いですよ、というのがあって、私も機会があれば聴いてみます、と返したのですが、CD棚をよ…

コンクールについて思うこと

前回のエントリで音コンを聴きに行ってきたという話をしましたが、ついでに音コンに限らずコンクールについて日頃思っていることを少々。 コンクールは審査付きジョイント・コンサート コンクールというとやたらと結果を重視する人がいますが、私はむしろ若…

Seiler/ImmerseelのMozartヴァイオリンソナタ集

Midori SeilerとJos van ImmerseelによるSchubertのヴァイオリンソナタ集が好印象だったので、他にもこのコンビで出ているCDはないかと探して、Mozartのヴァイオリン協奏曲集については以前ブログに書きましたが、続いてMozartのヴァイオリンソナタ集(2枚組…

Igor Romaのデビュー盤

Igor Roma(イゴール・ローマ)の、Alkan, Liszt, Prokofievの作品を収めたデビュー盤は、何年か前にGrammophoneだったかInternational Pianoのeditor's choice(?)に選ばれていて、そのとき是非聴いてみたいと思ったのですが入手方法がわからず*1、結局その…

Cyprien Katsarisのロシアン・アルバム

前回に続いて'70年代の(一部)ライヴもので、Cyprien Katsaris(シプリアン・カツァリス)のRachmaninovの3番とTchaikovskyの協奏曲をメインにしたロシアものを集めた2枚組CDの感想を。正直Katsarisはそれほど好きなタイプのピアニストではない(Chopinのバ…

Garrick Ohlssonの’73年プラハ・ライヴ

Pollini以降のChopinコンクール優勝者の中では日本で最も人気がないと思われる(笑) Garrick Ohlsson(ギャリック・オールソン)ですが、私は割と好きで、今回も新たに'73年のライヴ演奏がリリースされたので、最近はさすがに技巧的にも衰えを感じるのですが…