ノルマの回想が入ったLisztアルバム(編曲集)を聴いて以来、お気に入りのピアニストとなっているGiovanni Bellucci(ジョヴァンニ・ベルッチ)が新たにLisztのピアノ協奏曲第1番などを入れたCDを出したということで早速買ってみました。曲は他に死の舞踏(管弦楽伴奏版)、Wagner/Lisztのイゾルデの愛の死、エルザの大聖堂への入場、ハンガリー狂詩曲第2,12番。オケ付きの2曲はライヴ録音となっています。
期待して聴いてみたんですが、印象としては(失望とまではいかないまでも)もう一つというところでしょうか。ピアノ協奏曲は全体的に遅めのテンポで、表現的にも独特のアゴーギクがあったりしてかなり濃ゆい味付け。もちろん速ければよいというものでもないですが、技巧的な見せ場の急速部分でもあまり加速せずモッサリ気味、(ライヴということもあってか)精度的にももう一つで、以前のLisztアルバムに見られたようなテクニシャンぶりはあまり感じられません。死の舞踏も同様で、音に重みはあるのですが技のキレがもうひとつ。スタジオ録音のソロ曲の方もやはり全体的にゆったりしたテンポですが、細部の表現にこだわりが感じられ、多声的な音の扱いにも聴かせるものがあります。特にイゾルデの愛の死は、これほどポリフォニーを感じる演奏は初めてかも。ただそのこだわりのせいでハンガリー狂詩曲の急速部分などではスピード感や流麗さが犠牲になっている感があり、またやはり技巧的なキレはもうひとつ。(ちなみに第2番ではカデンツァはほとんどなし。)
思えば彼ももう40代、以前のような精緻な技巧は今後はあまり期待できないのだとしたら淋しいものです。(そういえばBeethoven/Lisztの交響曲をライヴですべて録音するという話もありましたが、Vol.1以降は進んでいるのでしょうかね。ちなみに以前話題に上ったBerlioz/Lisztの幻想交響曲はDeccaから出るみたいです。)