Sergio TiempoのChopinピアノソナタ第2番&24の前奏曲

Sergio Tiempo

以前のSergio Tiempo(セルジオ・ティエンポ)の記事へのコメントで、Victorの「ショパン名曲100」という6枚組の中にTiempoによるピアノソナタ第2番と前奏曲集が入っていますよ、という情報を頂き、6枚組にしては値段も手頃ということで買ってみました。ちなみにこのセット、巷の「クラシック**100」にありがちなフェードイン/アウトや楽章切り出しがなく、この手のCDにしては良心的な作りです。他の演奏者はDang Thai Son、Bunin、Joffe、Poblockaなど。また去年のChopinコンクールの予選時の演奏も結構入っています。

とりあえずTiempoの演奏が含まれている2枚だけを聴いてみたのですが、まさにこの間のCDでの印象通り。活きが良く、テクニックに優れ、何より面白いです。初出時にこれを聴いていれば、きっとそのときからTiempoに注目していただろうと思うと少し惜しいことをしました(ほとんど廃盤だそうで)。まず2番は、LazicやPogolerich(ライヴ盤)ほど過激ではないにしても、それに近いテイストがあり刺激的。特にスケルツォのスピード感、技巧のキレは格別です。24の前奏曲も、かなり速めのテンポ(手持ちの中ではArgerichと並んで最短の部類)ながらArgerich盤が素っ気無く聴こえるほど各所で個性的な表現というか色々やらかしていて、聴いていて楽しくなります。まあ楽譜を深く読み込んだというより感覚的に弾いた雰囲気があり、Chopinをもっと真面目に考えている人にとっては眉をひそめるような解釈もあると思いますが、個人的にはこの位は許される範囲。ただこの盤を買うのは普通はChopinの初心者だとすると、この盤が刷り込みになって普通の演奏がヌルく感じられてしまう危険性があるかも。

ちなみにTiempoは3番ソナタも同じくVictorに録音していた(というか元々は2番&3番のカップリングだった)ようなので是非それも今回のに入れて欲しかったですね。今回は3番はBuninでしたが、演奏は私の趣味ではありませんでした。