Igor Roma(イゴール・ローマ)の、Alkan, Liszt, Prokofievの作品を収めたデビュー盤は、何年か前にGrammophoneだったかInternational Pianoのeditor's choice(?)に選ばれていて、そのとき是非聴いてみたいと思ったのですが入手方法がわからず*1、結局そのままになっていたのですが、最近になって一般リリース(?)されたようなので早速買ってみました。曲はAlkanのイソップの饗宴、サルタレロOp.23、Lisztのヴェネツィアとナポリ、夕べの調べ、Prokofievのロミオとジュリエット。ちなみにRomaは第2回('94年)の浜コンに出ていて、そのときは第5位だったんですが、本選について言えば優勝したLiadovよりも良い出来(同じTchaikovskyの1番を弾いていました)ではないかと思ったものです。
聴いてみましたが、確かにこれはイケてます。Alkanのイソップの饗宴は、HamelinやRingeissenなどと比べるとよりロマンチックかつ振幅の大きい表現で、第9変奏ではテンポをグッ落としたりと彼独自の解釈が見られ、必ずしも譜面に忠実な演奏とは言えませんが、気迫漲る打鍵はカタルシスを感じます。サンタレロもこれを上回る猛演で、こちらは競合盤が少ないだけにさらに貴重。でも今回のCDで一番印象に残ったのはLisztのタランテラかも。この曲は意外と良い演奏がなくて、個人的にはGavrylyukの浜コンでのライヴを一番よく聴くのですが、今回のはそれに勝るとも劣らない出来。前半の同音連打はさすがにGavrylyukほど速くはないですが、全体的に音に勢いがあり技巧も冴えてます。中間部の緩徐部分での歌心も十分。もちろん残りのゴンドラの女や夕べの調べも秀演です。一方Prokofievですが、実は私はこの曲があまり好きではなくて(原曲も)、良さがあまりよくわからないのですが、唯一面白いと思うモンタギュー家とキャピュレット家はやや勇ましい感じで、もう少しグロテスクに奇怪に弾いてくれた方が好みかなという感じです。
やはりこうやって聴いてみると彼にはロマン的な曲が合っているような気がします。今後のCDリリースに是非期待したいところ。
*1:プライベート盤か何かだと書かれていたような気がします。立ち読みだったのではっきりと覚えていませんが。