2008-01-01から1年間の記事一覧

今年最も印象に残った10枚

恒例の今年の10枚(セット)。今回も順位は付けず、時系列(ブログ掲載順)に並べている。ただ今回は新譜に限定せず、候補はブログで採り上げたCDとした。 Elizabeth FarrのByrd'My Ladye Nevells Booke' Dejan LazicのScarlatti&Bartok Nicolas Deletailleの…

Eldar NebolsinのLisztピアノ協奏曲1&2番ほか

Nebolsinというと、昔Deccaからデビューした後、久しく名前を聞いていなかった(第1回Richterコンクールに優勝した話は小耳に挟んだ気もする)が、今回Naxosから新譜をリリース。(少し前にはRachmaninovの前奏曲集も出していたみたい。)Lisztの協奏曲はも…

Milnes/Montreal BaroqueのJ.S.Bachカンタータ集Vol.4

OVPPでもう一つ進行中のこちらのシリーズもVol.4がほぼ同時期にリリース。前回のVol.3ではかなり見直した彼らの演奏だが、今回はまた以前の印象に戻ってしまったかも。これだけを聴けばきっと悪くない演奏だと思うのだが、直前に聴いたKuijkenのと比べてしま…

Kuijken/La Petite BandeのJ.S.Bachカンタータ集Vol.7

今回の3曲(20, 2, 10番)もいずれも初めて聴く曲で、140番や147番のような有名曲を彼らの演奏で聴きたいと思っている身としては今回も肩透かしだったが(そもそもそれらは録音予定に入っていないのかも)、でも演奏は相変わらず好調。今回は特に第10番に私…

Lazar BermanのRachmaninovピアノ協奏曲第3番ほか

Bermanのラフ3は以前から(名盤との)噂はきいていたがこれまで聴く機会がなく、今回再発されたということで初めて聴いてみたのだが、正直期待はずれだった。(ピークを過ぎた頃の録音ということでそれほど大きな期待もしていなかったが。)録音のせいもあ…

2008年シドニー国際ピアノコンクール・ソロハイライト(その4)

最後のCD4は小品と編曲物ということだが、結果的にはこのCDが一番見るべきものが少なかった。唯一気に入ったのはXun Wang(入賞外)の弾くLisztハンガリー狂詩曲第6番。これもラッサン部分は特にどうということはないのだが、フリスカのオクターブ連打の技術的…

2008年シドニー国際ピアノコンクール・ソロハイライト(その3)

CD3は'Great Sonatas and Showstoppers'。ここで印象に残ったのは、Charie Albright(入賞外)のBeethovenソナタ第28番、Ran Dank(3位)のScriabinソナタ第9番、David Fung(入賞外)のラ・ヴァルス。AlbrightのBeethovenはドイツ風のがっしりとした解釈ではない…

2008年シドニー国際ピアノコンクール・ソロハイライト(その2)

'Studies, Romantics and Beyond'と題されたCD2には実はエチュードはあまり入っておらず、演奏の方もそれほど注目すべきものはなく、それよりはEric Zuber(6位)の弾くChopinアンダンテ・スピアナートと華麗な大ポロネーズや、Fernando Altamura(入賞外)のPro…

2008年シドニー国際ピアノコンクール・ソロハイライト(その1)

今年の7月にシドニー国際ピアノコンクールがあったので、もうハイライトCDが出ていてもよい頃だと思って調べてみたら、やはり出ていた。しかも今回は前回(2004年)よりさらに1枚増えて4枚組。前回のときの感想では、枚数の割りに印象に残る演奏は少なかったか…

Wolf HardenのBusoniピアノ作品集Vol.4

このシリーズは今まで買ったことがなかったのだが、今回のVol.4は私の好きなBWV532(原曲以上にこの編曲版が好きである)が入っているということで購入。が、聴いてみるとちょっと期待はずれだったか。特にテクの面で、フーガが佳境に入って重音進行が増えて…

Denis Matsuevのカーネギーホール・コンサート

Matsuevの新譜は2007年11月のカーネギーホールでのライヴ録音。曲目のうち子供の情景にはあまり興味がなく、Prokofievの7番はスタジオ録音が既にあるということで、今回の興味の中心はLisztのソナタだったのだが、それもあまり私の好みの演奏ではなかった。…

Denis Kuznetsovのデビュー盤

Denis Kuznetsovは'03年の浜コン2次で聴いたはずなのだが全く印象に残っておらず、当時のレポートを読み返してみてもやはりあまり芳しくなかったようなのでこのCDもずっとスルーしていたのだが、2枚組にしては安いということで今回抱き合わせ用に買ってみた…

Nikolai DemidenkoのChopin前奏曲集ほか

Hyperionとの縁が切れた(?)後、Sanctus, ASV, AGPLなどいろいろなレーベルからCDを出していたDemidenkoが今度はOnyxという新興レーベルから新譜をリリース。Chopinの前奏曲集は自分の中でもまだこれだ!といえる盤に出会っていないのでDemidenkoならひょっと…

Alexis WeissenbergのLisztピアノソナタほか

Weissenbergのピークは'50-'60年代だと思っているのでこれは期待できるかなと思って買ってみたのだが、全体的に演奏が荒い。もしくは粗い。特に先日の泊盤を聴いた後だとそれを強く感じる。もっともこれは音質が悪いせいもあると思うが。見せ場(聴かせ場)…

Kanazawa-Admony Piano DuoのLiszt交響詩集(2台ピアノ版)

Liszt自身の編曲による交響詩の2台ピアノ版には、個人的にはあまりよい印象を持っていなくて、それというのも昔Prague Piano DuoというピアノデュオのCDを聴いたとき、演奏がショボいせいもあってか、たとえば有名な前奏曲ならTausigやLisztによるソロピアノ…

Simone Dinnersteinのベルリン・コンサート

デビュー盤のGoldberg変奏曲がまずまずの印象だったDinnersteinの2枚目のソロアルバム。実は最初に曲目を見たときは今回はパスかなと思っていたのだが、冒頭のフランス組曲を店頭で試聴して気が変わってしまった。相変わらず優美で柔らかく、そしてときには…

Dejan LazicのRachmaninovピアノ協奏曲第2番ほか

最近はラフ2の新譜と聞いてもなかなか買う気にならないのだが、弾いているのがLazicとなると話は別。というわけで聴いてみたのだがちょっと期待はずれだったか。以前のBeethovenの2番のときもそうだったけど、ソロと違って協奏曲となると彼の個性的なピアニ…

泊真美子の土田英介&Lisztピアノソナタ

泊真美子は'02年と'03年の音コンで聴いているが、音楽性が豊かでとても表現力のあるという印象の人。'03年の本選でもLisztのソナタを弾いていてそのときの演奏もよかったが、今回の録音も内容的に非常に充実している。まず音というか響きが充実しているし、…

Rafal Blechaczのウィーン古典派ソナタ集

以前の記事でも書いたように、Blechaczの浜コンでのBeethovenソナタ第2番の演奏は私のお気に入りだっただけに、今回のCDのリリースは非常に楽しみにしていたのだが、残念ながら結果は期待通りというわけにはいかなかった。実際には浜コンと今回のCDとで解釈…

Enrico Pieranunziのインプロ付きScarlattiソナタ集

某CDショップの店頭で見かけた、Scarlattiのソナタとそれに基づくインプロヴィゼーションを並べて弾くという趣向CD。試聴機でちょっと聴いてみたらなかなか面白そうだったので買ってみた。Pieranunziはジャズの人のようだがジャズ風味はそんなに強くなく、ま…

Sara Davis BuechnerのJ.S.Bach/Busoniゴルトベルク変奏曲ほか

昔、Rheinberger/Reger編曲によるゴルトベルク変奏曲というのを聴いたことがあったが、Busoniも編曲を残しているとは知らなかった。と言っても、シャコンヌとか一連のオルガン曲の編曲のような、モダンピアノの特性を活かしたゴージャス路線の編曲ではなく、…

Julia BrownのW.F.Bach鍵盤作品集

W.F.Bachに対しては静かなシンパシーとでもいうようなものを抱いていることを以前にも少し書いたが、そのきっかけとなったF.31の8つのフーガを収録しているということで購入。この曲のチェンバロでの演奏は他にRousset盤を聴いているが、そちらはアゴーギク…

Denis MatsuevのLisztピアノ協奏曲第2番ほか

前回のLuganskyと同じシリーズで、こちらはMatsuevによるピアノ。Lisztが2曲とR.Straussというカップリングだが、この中ではLisztの死の舞踏が面白い。冒頭から妙にハイテンションなピアノでこれはやりそうだと予感させるものがあるが、果たしてその期待に見…

Nikolai LuganskyのBrahms & Chopinピアノ協奏曲第2番

これらの曲は正規盤(スタジオ録音)が出ていないはずということで買ってみたのだが、残念ながら音質が今ひとつ。最近の録音とは思えないようなレトロ風というかちょっとボヤけたような音で、解像度があまりよくない。それでもBrahmsの第1楽章などはLugansky…

Joanna MichnaのTausigバラード「幽霊船」ほか

Tausigの幽霊船のCDが他にもないかと調べてみたら、こんなのもあった。Michnaはポーランドのピアニストで、録音は2007年というから結構最近出たもの。ほかにChopinとLisztのバラード全曲が収録されているのだが、演奏はどれもあまりパッとしない。技巧が今ひ…

Elizabeth FarrのJ.S.Bachリュート・ハープシコード作品集

Elizabeth Farrというと、今年初めに出たByrdの'My Ladye Nevells Booke'が既に私の愛聴盤になりつつあるが、その彼女の新譜で、普通はリュートで演奏されることが多い作品をリュート・ハープシコードで弾いている(同様のCDはこれまでにもRobert Hillなどが…

Tamara Anna Cislowskaの’The Ghost Ship’

Cislowskaは'77年生まれのオーストラリアの女流ピアニスト。このディスクは以前Tausigのバラード「幽霊船」のCDを探していたときに存在を知ったのだが、残念ながらそのときは廃盤になっていて入手は諦めていたところ、いつの間にか復活していた。(ただし彼…

Andrew Rangellの’A Bridge to Bach’

先日の平均律以外にもRangellで聴いていないCDがあったのでついでに買ってみたものだが、こちらもなかなかいける。GibbonsやSweelinckなどルネサンス期の鍵盤作品をピアノで弾いたまとまったアルバムというのは思いのほか少なく(他にはGouldとか去年出たPie…

McCawley/WassのBeethoven/Liszt交響曲第9番(2台ピアノ版)

NaxosのLiszt全集の新譜(Vol.28)は2台ピアノ版のBeethoven合唱交響曲。この曲はこれまでCanino/Ballista盤とPludermacher/Planes盤を聴いているが、各声部の絡みがわかりやすく室内楽的アプローチのCanino盤、オケの響きをピアノで実現することを重視したP…

Bertrand ChamayouのMendelssohnピアノ曲集

Chamayouはデビュー盤のLisztを聴いた限りではそれほど惹きつけられるものがなかったのだが、今回のMendelssohnもやはり何かもう一押しが欲しいという印象。確かに指はよく回っているし、明晰で清潔感のあるいかにもフランス的といった演奏なのだが、歌い回…