2010-01-01から1年間の記事一覧

今年最も印象に残った10枚

最近買ってまだ聴いてないCDもあるけど、それは来年に回すとして、とりあえず新譜に限らず今年購入してブログで採り上げたCDの中から選出。 Pierlot/Ricercar ConsortのJ.S.Bachマニフィカトほか Kurosaki & NicholsonのBeethovenヴァイオリンソナタ集Vol.4 …

Mei-Ting SunのWagner/Lisztタンホイザー序曲

12/1のエントリのコメント欄で教えて頂いた演奏。CDごと購入しようかとも思ったのだけど、メインのKreislerianaをちょっと試聴したらイマイチっぽかったので、この曲だけを$0.99でダウンロード購入。2004年Madridでのライヴ録音。聴く前は正直、(Kreisleria…

Oxana Shevchenkoのデビュー盤

Shevchenkoは'87年生まれ、カザフスタン出身のピアニスト。今年のスコットランドコンクール優勝の副賞として録音されたものらしい。冒頭のRavelの悲しき鳥を聴いて、間接音が多めの録音ということもあると思うが、ピアノの響きや音色に敏感そうな雰囲気。全…

Laure Favre-KahnのChopinアルバム

去年聴いた前奏曲集がとても気に入っているFavre-KahnのChopinアルバムの再発盤(初出は98年)。前奏曲集でもそうだったが、最初のバラード第3番の冒頭の1フレーズを聴いて、やっぱりこの人は私と感性がピッタリあっているなと感じた。何か特別なことをして…

Florian UhligのBeethoven変奏曲集

Uhligは1974年生まれのドイツ人ピアニスト。先月くらいのレコ芸の海外記事でSchumann全集のVol.1がかなり褒められていたので興味を持ったのだが、あいにくそのCDは曲が苦手だったので、去年出ていたBeethovenをまず買ってみた。一聴したところ、すごく清潔感…

Denis MatsuevのRachmaninovピアノ協奏曲第3番ほか

これは去年出たCDで、そのときは迷って保留にしていたのだけれど、このたび抱き合わせ用に購入。でも保留にしていたのはあながち間違いではなかったかなという印象。確かにMatsuevらしい馬力のある攻めが、特に終楽章では随所に見られるし、第2楽章後半の速…

Konstantin LifschitzのSchubertピアノソナタ第19番ほか

19番のソナタはレリークと並んでSchubertのソナタの中でも最も好きな曲、しかも弾いているのが独特のピアニズムを持つLifschitzということで買ってみたが、聴いてみると演奏は意外と普通というかでまとも(よい意味で)。全体的には、細部にこだわるというより…

Anna VinnitskayaのProkofievピアノ協奏曲第2番ほか

デビュー盤はいまひとつの印象だったVinnitskayaだが、2枚目となるこの協奏曲はエリザベートコンの本選で弾いた曲だけあって、満を持したという感じ。(デビュー盤の方もコンクールで弾いた曲だと思うけど。)テクニック的に細部まで抜かりがなく、特に終楽…

Matthew CameronのLisztアルバム

少し前のレコ芸で紹介されていたもので、目玉はCameron自身の編曲によるレ・プレリュード。確かにTausig編曲版に比べるとよく練られている感じがする(Tausig編もメイン主題での煌めくような右手パッセージが好きだけど)。同じくCameron編曲のフン族の戦い…

Giovanni BellucciのChopin/Tausigピアノ協奏曲第1番ほか

アルバムタイトルは'Chopin Metamorphoses'ということでLisztやBusoniらによるChopin編曲が収められているが、目玉はやはりTausig編によるピアノ協奏曲第1番。最初のオケでの主題提示部分が短く改変されているのは初めはちょっと違和感があるが、この部分は…

Glenn GouldのBrahmsピアノ協奏曲第1番ほか[旧譜]

この頃はCDを買う枚数が以前と比べて減ってきたのか、ブログの更新ペースも落ちてきているので、ときどきは新譜に限らず私の好きな盤を採り上げていきたいと思う。第1弾はGould/P.AdlerのBrahmsピアノ協奏曲第1番(1962年のライブ録音)。 この曲は実は最初は…

Marc-Andre Hamelinの短調による12のエチュードほか

Hamelinと言えば超絶的技巧、というわけで、(最近は「普通の」曲もよく録音するようだが)彼にはやはりこういう曲が合っている。12曲のうち2曲(9,10番)は以前のHyperionの録音そのまま、3曲(3,6,12番)は(その後改訂されたため)再録だが、全体的な印象とし…

Kuijken/La Petite BandeのJ.S.Bachカンタータ集Vol.11

この間Vol.10が出たと思ったらもうVol.11。KurosakiのBeethovenといい、ACCENTはシリーズ物のリリースペースが早い。歌手陣は前回傾向分析した通り、ソプラノのみローテーション(?)で交代し、残りの3人はいつも通り。今回に限らず、聴き慣れないカンタータの…

Duo Egri & PertisのLisztハンガリー狂詩曲集(4手連弾版)

Liszt自身が管弦楽版を元に編曲した4手版。管弦楽版を聴き慣れていれば、それをどうピアノに置き換えていくかが興味深いところなんだろうけど、あいにく管弦楽版はめったに聴かないのでそこらへんの面白さはあまり味わえず、逆に独奏版と比べて(音自体は多…

Kurosaki & NicholsonのBeethovenヴァイオリンソナタ集Vol.4

このシリーズの早くも完結編。今回も相変わらず好調な演奏で、満足度の点では最初に出た9&10番と並ぶかもしれない。と言うのも今回は私の好きな8番(の第1楽章)が入っているのと、あとこれまでやや馴染みの薄かった6番が実はなかなかの魅力ある曲だと気づかせ…

Guillaume CoppolaのLisztアルバム

だいぶ前にレコ芸で紹介されていたのでそのとき注文し、最近になってやっと到着したもの。冒頭のナポリのタランテラを聴いたときはなかなか期待させるものがあったのだが、聴き進めていくうちにそれもやや尻すぼみになってしまった。テクで聴かせるというの…

Herbert SchuchのSchumannアルバム

いま最も期待するピアニストであるSchuchの4枚目のアルバム。が、印象はセカンドアルバムのSchubertと同様、良い演奏だとは思うが期待の高さからするともう一つインパクトに欠けるというのが正直なところ。特に期待していた謝肉祭は、もう少し表現に彼らしい…

Lazar BermanのLiszt作品集

この3枚組の目玉は多分、長らく廃盤になっていた'63年の超絶技巧練習曲ということだと思うが、それは既に持っているので、ソナタやSchubert編曲物など他の曲を目当てで購入。結果としては超絶と同じくやはり音質の悪さが気になってそれほど楽しめなかった。…

Kuijken/La Petite BandeのJ.S.Bachカンタータ集Vol.10

このシリーズもVol.10ということで予定の半分まできたことになる。今回もあまりメジャーというか馴染みの曲はなかったが、何回か聴き込んでいるうちにやはりそれぞれ良い曲だなと思えてくるのはさすがBach。今回もいつものように良質な演奏と言う他は特筆す…

John Butt/Dunedin Consort & PlayersのJ.S.Bachミサ曲ロ短調

OVPPによるロ短調ミサも最近は珍しくなくなってきたが、これは元祖のRifkin校訂版(2006)を使用。聴いてみると、柔らかで落ち着いた雰囲気のKuijken盤に比べ、こちらは全体的に快活というか元気。(これはRifkin版とは無関係だろうが。)残念なのは合唱陣がKu…

William WolframのLisztピアノ曲全集Vol.31

前回のDonizettiの編曲集はこのシリーズ中でも最高に近い出来ではないかと思っていたので、今回のBelliniも大いに期待していたが、正直前回ほどではなかった感じ。それでも全体的に質の高い演奏となっており、特に輝かしく鳴る和音は魅力的。ただ最も期待し…

Nikolai LuganskyのChopinアルバム

いつもながら再録音が多いLugansky。(しかも解釈にもあまり変化がない。)今回もメインの3番ソナタ以外はほとんど(全部?)再録音なのでいきおい興味の中心はソナタになるのだが、結果は期待はずれと言わざるを得ない。ヌルいというか中途半端というか、彼ら…

Jonathan BenichouのScriabinアルバム

Benichouは1981年フランス生まれのピアニスト。このScriaibnを聴く限り、なかなかの音楽センス、歌心に恵まれた人のようである。技巧というかメカニック的には特に目立つところはないが、歌い方が自然で音の響きも豊か、よい意味でおおらかというか、スッと…

Yuja Wangの’Transformation’

デビュー盤のソナタ集はもう一つ感心しなかったYujaだが、今回の編曲集は技巧性が高い曲揃いということで彼女の本領が発揮されている。特にペトルーシュカとPaganini変奏曲はメカニックの点ではこの曲の録音の中でもトップクラスにあると言えそう。後者はMic…

Alexander MelnikovのShostakovich 24の前奏曲とフーガ

Scriabinでも強く感じたが、Melnikovの音色やタッチをコントロールする能力はやはり刮目すべきものがある。今回のShostakovichもすべての音が滑らかにコーティングされているかのよう(Fellnerの平均律を思い出させる)で、特に弱音での柔らかく陰影に富んだ…

Kurosaki & NicholsonのBeethovenヴァイオリンソナタ集Vol.3

今年の2月にVol.2が出たと思ったらもうVol.3で、ペースが早い。今回の1,2,3番は最近ではSeiler/Immerseel盤やMetzger/Zitterbart盤を聴いているが、同じ時代楽器と言ってもやはり微妙にスタイルや音色が異なるところが面白い。で、どれが一番良いかと聞かれ…

Louis LortieのChopinアルバムVol.1

ChopinイヤーということでLortieも久しぶりとなるChopinを録音。Vol.1と銘打っているので続編もあるのだろう。聴いてすぐに感じるのは、やはり音の美しさ。しっとりとした瑞々しさはデビュー盤のエチュードを思い出させる。(Fazioliを使っているのも関係し…

Antonii Baryshevskyiのデビュー盤

Baryshevskyiは1988年生まれのウクライナのピアニスト。Scarlatti, Debussyのほか、ラ・ヴァルス、Rachmaninovの2番ソナタ、ペトルーシュカ3楽章という、腕に覚えあり、といったプログラムが目を引いたので買ってはみたが、正直あまりパッとしない。最初のSc…

Stephen HoughのTchaikovskyピアノ協奏曲全集

ソロアルバムでは最近印象が今ひとつのところもあるHoughだが、協奏曲では常にいい仕事をしている、ということで今回も(それほど好きな曲ではないが)期待して購入。予想通り快速テンポで質実剛健、甘ったるいセンチメンタリズムとは無縁の爽快な演奏に仕上…

Simon TrpceskiのRachmaninovピアノ協奏曲第2 & 3番

TrpceskiのCDを買うのはEMIのデビュー盤以来。そのデビュー盤では高度に安定した技巧に感心した一方、味付けがやや淡白で優等生的雰囲気が漂っていることに多少食い足りなさを感じたためその後に出たChopinやRachmaninovのソナタなどは(聴かずに)保留してい…