Garrick OhlssonのBeethovenピアノソナタ集Vol.1

Garrick Ohlsson

Garrick Ohlsson(ギャリック・オールソン)のBeethovenピアノソナタ集Vol.1となっていますが、Vol.1なのはこのレーベル(Bridge)から出す予定の全集に関してで、以前Arabesqueからは29番と16番のカップリングなどが出ています。そのArabesque盤(29&16番)ですが、実はあまり記憶に残っておらず、というか要するにそれほど印象に残るものではなかったということなんですが、今回のVol.1は4,24,28番と、例によって好きな4番が含まれているのと、28番もかなり好きなのと、あと多少ご祝儀的な意味も含めて買ってみました。

それほど期待せずに聴いたのですが、う〜ん、やはり何というか印象としては「弛緩している」という感じでしょうか(響きもテンポも)。特に4番(の第1楽章)はキビキビ、快活、溌剌、引き締まった演奏を期待しているのですが(何といってもAllegro molto e con brioですから)、テンポがかなり遅めで、ところどころで威勢の良いところはあるのですが、どこかふやけた感じ。技術的にも細部については多少アバウトなところがあって、端正さに欠けます。あと第1〜3楽章の遅さはまあ予想の範囲内だったんですが、終楽章は予想外の遅さで、曲想が崩れる寸前といった感じです。と思ったら案の定、(ここを見るとわかるように)手持ちの中では(ダントツで)最遅でした。これに比べると28番は後期のよりロマン派的な香りがする曲なのでOhlssonの資質にあっているかなと思ったのですが、第1楽章はともかく第2楽章のスケルツォはリズムの崩れが著しい。問題の終楽章のフーガは安全運転で乗り切ったという感じです。あと24番はやはり第2楽章が(El-Bacha盤などを聴き慣れていると)指回り的に少し苦しいですね。

というわけで、以後このシリーズの続編を買うことはなさそうです。少なくとも私の好みのタイプの演奏ではなかったですね。