J.S.Bach トリオソナタ第6番ト長調BWV530【お気に入り動画】
1, 2, 5番に続いてトリオソナタ第6番のお気に入りの演奏動画を紹介。
まずMaria Vekilovaの演奏(第1楽章のみ)。
躍動感があり、また音の輪郭が明確で音色が明るいところが私好み。加えて1画面で手と脚の両方の動きがよくわかるのもポイント高い。個人的になぜか0:46あたりからのバスの動きに魅了される。
Jan Liebermannはいつものように全楽章の演奏があるが、その中では第3楽章(↓)が特によいと思う。
映像的にバス(足鍵盤)の動きがもう少しわかりやすかったらもっとよかったかな。(その分、引きの映像はいらない。)
Valentina Huangのこの演奏も悪くない(第3楽章のみ)。
こちらは逆に足(や手)の動きがわかりやすい。
最後にWillem Tankeの演奏(第1楽章のみ)。
リズムが律儀というかとても几帳面な演奏で、もう少し躍動感があってもよいかなと思わないでもないけど、でもやはり明るく明晰な音が私好み。
ちなみに他のトリオ・ソナタと同様、室内楽アンサンブルによる演奏動画も探しているのだけど、残念ながらまだこれといったものに出会えていない。
Liszt ピアノソナタロ短調S.178【お気に入り動画】
以前から折に触れて書いていると思うが、実はLisztのピアノソナタは(LIszt好きを自認する私ではあるが)それほど好きな曲ではなく、昔からよくあるCDのLisztアルバム等でもこの曲が入っているとちょっと残念な気持ちになったりしたものである。(曲が長いのでその分他の曲の収録時間が減る。)確かにコンクール等で良い演奏を聴くと(たとえば浜コンでのAmir Tebenikhinの演奏は今でも思い出す)感動したりもするが、基本的にはどうも掴みどころがないというか捉えどころがないというか、そういう感が強い。かつてClara Schumannが「私はこれほど支離滅裂で、これほど脈絡がなく、これほど精神性の欠如したものを聴いたことがない」、Eduard Hanslickが「私はいまだかつて、支離滅裂な要素がこれほど抜け目なく厚かましくつなぎあわされたものを聴いたことがない」と評したそうだが、個人的には(完全同意ではないにしても)共感するところが多い。
前置きが長くなったが、そういうわけでこの曲の動画を積極的に探して視聴することはほとんどないのだが、たまたま(多分他の動画を見ているときに)関連動画とかで出てきた藤田真央の演奏(@Gina Bachauerコンクール)はちょっと感心した。
録音のせいもあると思うが、音が非常にクリアで特に急速な細かい音型での粒立ちの良さはCDでもなかなか聴けないものだと思う(たとえば7:30~8:13あたりなど)。ミスらしいミスもほとんどないところも大したもの。ちなみに第2部は11:27、第3部(フーガ~)は18:11、コーダは23:57あたりから。
それ以外では、CDでは多分今一番好きなKhatia Buniatishviliの演奏(@Arthur Rubinsteinコンクール)。
画質はあまりよくないが、CDでの演奏の雰囲気がよく伝わってくる。ただ大きな問題があって、第3部の54:44~54:57、55:38~56:58あたりに多分編集ミスで謎の中断や別の人の早送り演奏が挟まっていたりする(ので保存後に動画編集して聴いた方がよい)。ちなみに第2部は45:20、第3部は51:20、コーダ(CDでもそうだが、見もの)は57:27あたりから。
上に書いたようにこの曲の演奏動画は積極的にチェックしているわけではないので、探せば他にも良い演奏があるかもしれない。
Schubert 「魔王」D.328【お気に入り動画】
前の記事で3大「表情が印象的な演奏」の話をしたが、その範疇とはちょっとはずれるけれどどうしても書かずにはいられないのがJessye Normanのこの演奏動画。(ちなみにこの曲はCDではFischer-Dieskau盤が愛聴盤。)
演奏云々の前に、まず映像的なインパクトが凄い。青地に奇妙な白の物体が蠢くを映像(空間インスタレーションだそう)をバックにカメラがNormanの周囲をグルグルと舐めていく(しかも顔のアップで)異様さはちょっと形容しがたい。しかも彼女の、何者かが憑依したような表情は一度見たら忘れられない。コメントで誰かが「the most terrifying version of this lied」と書いていたが、ピッタリの形容である。(言い忘れたが演奏ももちろん素晴らしい。)
Prokofiev ヴァイオリン協奏曲第2番より終楽章【お気に入り動画】
Prokofievのヴァイオリン協奏曲は2曲とも好きな曲だが、第1番は全楽章が同じくらい好きなのに対し、第2番は圧倒的に終楽章に惹かれる(ちなみに愛聴盤はDmitry Sitkovetsky盤)。
そんな中で特に気に入っているのがJanine Jansenの演奏。
演奏ももちろん素晴らしいが、ときに見せる顔芸のような豊かな表情がとても印象的。(個人的にはBuniatishviliのSchumannピアノ協奏曲、Maria Keohaneのカンタータ51番と並んで3大「表情が印象的な演奏」に認定したいところ(笑)。)ちなみに彼女の別の演奏もあって画質はそちらの方がよいが勢いは上の方があり、また引きの映像が多いため表情の上のほど楽しめない。
他の演奏者も結構視聴してみたが、まだこれに匹敵するものには出会えていない。
Liszt スケルツォとマーチ S.177【お気に入り動画】
この曲はその難度(と録音の少なさ)から、CDでも気に入っている演奏は数えるほど(すぐ思いつくのはDemidenko盤とPirojenkoの浜コンライブ録音ぐらい)で、映像付きとなるとさらにハードルが高く正直十分に満足している動画にはまだ出会えていないが、それでも今のところまずまずと言えるものをいくつか紹介。
まずはLeonardo Pierdomenicoの演奏。
迫力とか凄みといったものを感じさせる演奏ではないが、その分丁寧でスマートという印象。特にミスらしいミスがほとんどないのがよい。
続いてBehzod Abduraimovの演奏。
こちらも多少硬さはあるが安定感がありキッチリしているところが好印象。
最後にタンホイザー序曲のお気に入り動画でも取り上げたYury Favorinの演奏。
スピード感や技巧のキレはさすがと思わせるものがある。ただ少し残念なのは音抜けなどの小さなミスがやや目立つ、というか丁寧さに若干欠けるかなと思わせるところ。(それを思うとあのスピードでほぼノーミスだったPirojenkoは大したもの。録音だけでなく映像も残っていたらなぁとつくづく思う。)
J.S.Bach カンタータ第35番「霊と心は驚き惑う」BWV35【お気に入り動画】
第29番と並んでオルガンが活躍するカンタータと言ってすぐ思いつくのが第35番。こちらもとても好きな曲である。
まずは安定のNetherlands Bach Societyの演奏(オルガン:Leo van Doeselaar)。
オルガン協奏曲となっている冒頭のコンチェルトはもちろん好きだが、それ以外では第4曲のアルトアリア「神はすべてを善くなしたもう」のオルガンパートも非常に魅力的(C-T:Maarten Engeltjes)。
そしてNetherlands Bach Societyと並んで質の高い演奏を多く提供しているThe Bach Foundationの演奏。(埋め込み動画がNGとなっているのでリンクのみ)
第1曲コンチェルト(オルガン:Norbert Zeilberger):
https://www.youtube.com/watch?v=8TdPe4iEYPQ&t=44s
演奏ももちろん良いがオルガンが主役だけあって弾く様子をバッチリ映しているところがよい。
第4曲アリア(アルト:Claude Eichenberger):
https://www.youtube.com/watch?v=8TdPe4iEYPQ&t=943s
こうやって聴くと(どちらかというとアルト曲はC-Tの方が好きだが)女声も悪くない。
最後にMusica Aeternaの演奏(オルガン:Monika Melcová)。
やや残念な点としては上の2つに比べるとカメラワークが単調で映像的な魅力に欠けるところ(オルガンの鍵盤もほとんど映されない)。
一方で嬉しい点はアルト(C-T)に私の大好きなCarlos Mena(C-T歌手としては一番好きかも)を起用しているところ。
彼の歌声は何度聴いても絶品である。
J.S.Bach カンタータ第29番「神よ、われら汝に感謝す」BWV29よりシンフォニア【お気に入り動画】
無伴奏ヴァイオリンパルティータ第3番プレリュードの編曲と言えば、リュート組曲の他にこのシンフォニア(オルガン協奏曲風)も有名。(Bachはよほど気に入っていたに違いない。)
まずはNetherlands Bach Society(オルガン:Leo van Doeselaar)の演奏。
Netherlands Bach Societyの演奏はほぼハズレがないが、この演奏も質が高い。ちなみに全曲の演奏動画もある。
続いて多分BCJ(オルガン:鈴木優人)の演奏。
爽快なテンポとオルガンのcrispyな音色が魅力的。途中ちょっとしたミスがあるのが惜しい。
そして編曲物ではあるが、シンセによるオケがWalter CarlosのSwitched-On Bachを彷彿とさせる、PJ d'Atriによるエレキギターでの演奏。
個人的には、曲の魅力が伝わるという点ではあるいは原曲を超えているかもしれない。(実はそのSwitched-On Bachを聴き過ぎたせいか通常のオルガン演奏はもっさりと聴こえてしまうことが多く、オルガンで他に気に入っている演奏はあまりないのが実情。)
J.S.Bach 無伴奏チェロ組曲第6番ニ長調BWV1012(ギター版)【お気に入り動画】
以前書いたように無伴奏チェロ組曲は第6番を偏愛しているが、ギターによる演奏も同様に大好きである。(ちなみにリュート組曲第4番BWV1006aとは違ってBach自身の編曲はないので、演奏者によって多少編曲に違いがある。)
まずはEliot Fiskの演奏。
表現にメリハリと勢いがあり、勢い余ってちょっと粗くなってしまうところもなきにしもあらず(ジーグなど)だがそれを補ってあまりある魅力がある。
続いてPetrit Çekuの演奏。
より落ち着いて温かみのある演奏で、安定感もある。多少気になるのはプレリュードで原曲と多少音を変えているところで、(楽器の制約ではないと思うので)原曲と同じにしてくれた方がよかったかな。
以下は全曲ではなくプレリュードのみで、まずはAndré Ferreiraの演奏。
音色の繊細なコントロールが絶妙。特に柔らかな音色が印象に残る。終盤の難所も間然とするところがなく、技術的洗練の面では一番かもしれない。
最後にMoran Wasserの11弦ギターによる演奏。
速めのテンポかつあまりアゴーギクをつけずインテンポ気味に進むので他の演奏とは雰囲気がかなり違う(がこれはこれでよい)。こちらも終盤難所で淀みがないが、普通の6弦ギターより多少弾きやすいのかもしれない。
J.S.Bach リュート組曲第4番 BWV1006aよりプレリュード【お気に入り動画】
この有名なプレリュードは原曲のヴァイオリンの演奏も好きだが、こちらのギター(リュート)版もそれに劣らず、あるいはそれ以上に惹かれるものがある。スピード感や爽快さは原曲の方がより楽しめるが、ギター版は音色の変化や細かな表情付けなどよりintimateな表現に向いている気がする。
まずはStephanie Jonesの演奏。
現時点では私の好みに一番近い。細やかな音色や表情の変化もさることながら、ときには強めのアクセント(たとえば2:25~2:45あたりの拍頭)をつけるなどメリハリもある。そして演奏そのものだけでなく映像面でも、弾いているときの体の揺らし方が自然というか音楽の流れとマッチしていて心地よい。ちなみに全曲版の動画もある。
続いてDrew Hendersonの演奏。
落ち着いた大人の雰囲気(さしずめ平静流)といった感じ。
Mateusz Kowalskiの演奏。
www.youtube.comこちらも基本的には落ち着いた演奏だがデュナーミクなど表現の幅はやや広めでJonesの演奏に近い。ちなみに彼の別の演奏動画もあり、そちらも演奏的にはほぼ同じ。
Rene Izquierdoの演奏。
アゴーギクの変化少なめのストレート路線。残響もやや少な目のため1つ1つの発音がクッキリしている。
Vera Danilinaの演奏。
快速テンポで爽快感がある。(原曲ではこれくらいのテンポの演奏が多い。)これよりやや落ち着いたテンポの別の演奏動画もある。
Alberta Khouryの演奏。
多少粗いところはあるが勢いのある表現やスピード感が魅力。風貌も相まってどこかスペイン風(情熱的)な雰囲気を感じる。
その他、András Csákiの演奏、Alexander Milovanovの演奏、Rupert Boydの演奏も悪くないし、探せばさらに魅力的な演奏も見つかるかもしれない。ちなみにリュートでの演奏は気に入るものにまだ出会っていない(探し方が悪いのかも)。
三善晃 ピアノソナタより終楽章【お気に入り動画】
この曲は小賀野久美のCD(リンク先の演奏はCDと録音年が1年違うので多分別録音)で知って気に入り、それ以来別のCDも無いかと探すも見つけられない状態が続いていたが、例によって現在ではyoutubeでいろいろ演奏動画が見られる。特に終楽章はそのスタイリッシュなカッコよさ(?)からか(国内コンクール等で)ここだけ弾かれることも多いようである。ということで割と気に入っている演奏を3つほど。
まずは嘉屋翔太の演奏。
打鍵の鋭さとメリハリのある表現が魅力。欲を言えば何度も出てくる急速上行パッセージが(小賀野のCDのように)もっとクッキリに聴こえるとよいが、それはここで挙げた他の演奏でも同様。
続いて太田糸音の演奏。
上と同じくPTNAコンクールでの演奏だが、こちらの方がカメラアングルに変化があって映像的な面白さが増しているかな。
最後に前田勝則(2000年の音コンで私が買っていた一人)の演奏(中3の時のだそう)。
音質が(画質も)上の2つより悪いがその荒々しさから却って迫力が増している感じもする。