Giovanni BellucciのChopin/Tausigピアノ協奏曲第1番ほか

アルバムタイトルは'Chopin Metamorphoses'ということでLisztやBusoniらによるChopin編曲が収められているが、目玉はやはりTausig編によるピアノ協奏曲第1番。最初のオケでの主題提示部分が短く改変されているのは初めはちょっと違和感があるが、この部分は素人耳にも長く感じるところなので気持ちはわかる。それより印象に残るのは原曲ではすべてピアノで弾いているパッセージを、編曲ではオケとの間で受渡したり、低音部をオケで弾かせたりしていることで、これを聴くをなぜChopinがオーケストレーションが下手と言われるのかがわかる気がする。すなわち原曲ではおいしいところをピアノがすべて持っていってしまって、オケは単なる伴奏に過ぎないところを、Tausig編曲ではもっとオケとの一体感の感じられるようなものなっている。2楽章などでは逆にピアノパートにLiszt的な技巧的なパッセージを盛り込んだりして、(多分純粋なChopin好きには改悪としか映らないだろうが)これも結構楽しめる。ただ演奏の方は、最近は衰えの見えるBellucciということで全体的にもう少し明晰さが欲しいところ。