Oxana Shevchenkoのデビュー盤

Shevchenkoは'87年生まれ、カザフスタン出身のピアニスト。今年のスコットランドコンクール優勝の副賞として録音されたものらしい。冒頭のRavelの悲しき鳥を聴いて、間接音が多めの録音ということもあると思うが、ピアノの響きや音色に敏感そうな雰囲気。全体的にしっとりとした潤いやしなやかさといったものがあって、特にLiszt/BusoniのFigaro Fantasyは、通常はバリバリ(悪く言うとガチャガチャ)弾かれることが多い中で、こういったみずみずしさはなかなか得がたいものがある。Shostakovichの前奏曲もそういったピアニズムに合っているし、最後のLa Valseも芳醇な響きが好もしい。ただ道化師の朝の歌はもう少し細かい動きで明晰さが欲しい気がした。総体としては、強いインパクトはないものの、デビュー盤としては悪くないという印象である。