Stephen HoughのTchaikovskyピアノ協奏曲全集

[Hyperion CDA67711/2]

ソロアルバムでは最近印象が今ひとつのところもあるHoughだが、協奏曲では常にいい仕事をしている、ということで今回も(それほど好きな曲ではないが)期待して購入。予想通り快速テンポで質実剛健、甘ったるいセンチメンタリズムとは無縁の爽快な演奏に仕上がっている。(ただ第1楽章の技巧的見せ場の1つ、高速ダブルオクターヴの部分では直前のオケに比べてテンポが若干落ちるのがちょっと残念。)他の協奏曲(2,3番と協奏的幻想曲)はあまり詳しくないが、それでもHoughのキレまくりの技巧は胸がすく感じで、どの曲も終わった瞬間にドッと聴衆の歓声が湧くのも頷ける。もっともこれら(1番以外)の曲は、キャッチーなメロディとピアニスティックな演奏効果で聴いているときはまあ面白いのだが、聴き終わるとあまり心に残らないというか繰り返して聴いたいと思わないところは、どこかSaint-Saënsの協奏曲と通じるところがあるような気がする(曲が似ているということではなく)。