Marc-Andre Hamelinの短調による12のエチュードほか

Hamelinと言えば超絶的技巧、というわけで、(最近は「普通の」曲もよく録音するようだが)彼にはやはりこういう曲が合っている。12曲のうち2曲(9,10番)は以前のHyperionの録音そのまま、3曲(3,6,12番)は(その後改訂されたため)再録だが、全体的な印象としては昔に作曲されたものの方がHamelinらしさというか、Alkanに通じるような技巧的にイッちゃってる感がより強く出て魅力的な気がする。また再録した曲に関しては、技巧的に多少弾き易く改訂されたためか、あるいは彼自身の技のキレも多少落ちてきたせいもあるのか、以前の方が凄み(サラっと凄いことをしている)があったように思う。いずれにしても、以前6番(Scarlatti讃)が他者によって録音されたように、今後は他のピアニストによって演奏される機会も増えてくるのではないだろうか。そうなれば、HorowitzやCziffraの編曲物がそうであるように、オリジナルを超えるような演奏もいつかは出てくるに違いない。