2008-01-01から1年間の記事一覧
先日のコメント欄で情報を頂いたRangellの平均律を早速購入。自由闊達なアーティキュレーション、雄弁な左手、歴史的奏法を踏まえたアゴーギクなどいつものRangell節がふんだんに盛り込まれていて、彼の演奏スタイルがOKな人には十分楽しめる内容。ただ前…
首を長くして待っていたMustonenの弾き振りによるピアノ協奏曲全集の第2弾。第1弾が1&2番だったので次はてっきり3&4だと思っていたら、4番ではなく過去にDeccaに録音していた6番(ヴァイオリン協奏曲の編曲版)だったのはちょっと意外。演奏は予想というか期…
Clemmowとのコンビで4手ピアノ作品を多く録音しているGoldstoneの、今回はソロピアノによるオペラ編曲集。この手のCDは何枚も持っているのだが、やはりつい手が出てしまう(笑)。だが残念ながらこれは全体的にイマイチの出来。最初のリゴレット・パラフレーズ…
Schepkinを聴いたのはこれが初めてだが、GouldとKoopmanを「私の偉大なヒーロー」と呼ぶだけあって、軽快なリズムと乾いたアーティキュレーションはGouldを、豊富な装飾音はKoopmanを思い出させ、なかなか面白い。(あと高橋悠治を思わせるところも。)若干…
前々回(2003年)の浜コンで奨励賞だったDescharmesのデビュー盤。彼の3番の演奏は浜コンでの3次ライヴ盤でよく聴いており、今度の演奏も大きなな違いはないと予想できるのだが、多少ご祝儀的な意味も込めて購入。が、聴いてみると印象はもう一つだったか。…
新譜ではないが、以前ここで好感を持って取り上げたRoger Wrightが他にもCDを出していることを知り、購入。(CDにはレーベル名や番号の記載がないので自主制作盤かも。)曲はHaydnとSchubertのソナタ、Schumannのトッカータ、Rzewskiのウィンズボロ紡績工場の…
Jolivetのピアノ協奏曲は、初演者のDescavesの2種の録音がいずれもピアノの音がボケ気味な上に動きもモッサリしていて曲の面白さがイマイチ伝わっていない感があるのに対し、今回のライヴ録音はピアノの音も割とクッキリして(逆にオケが少し引っ込み気味か…
前回('06年)の浜コンでは、是非2次に進んで欲しいと思ったにもかかわらず1次不通過だった人が5人いたが、その中の一人であるKorobeinikovのソロデビューアルバム。浜コンで彼を聴いたときは、音色や響きに非常に敏感で、実力を持ちながら技巧顕示に走るこ…
デビュー盤のPaganiniを聴いて以来、なにかと気になる存在であったGringoltsの、今回はHyperionへの録音。Ernstはあまり詳しくなく、今回も聴いたことがあるのは有名な夏の名残のバラ変奏曲と魔王だけなのだが、その2曲から判断するに、彼の演奏は繊細さとか…
Freddy Kempfの新譜は展覧会の絵、夜のガスパール、イスラメイという、技巧派志向の彼らしいプログラム。彼の演奏の傾向として、スピード感やノリの良さを重視するあまり、テンポが走ってしまったり細部が雑(誤魔化し気味)になったりする感じがあることを…
今回は(収録順に)18,23,1番の3曲。この中では1番が最も私とウマが合う曲で、また去年出たMilnes盤にも入っていたので聴き比べてみたが、ソロ(アリアとレチタティーボ)に関しては互角といった感じ。一方冒頭の合唱は今回のKuijken盤の方がより近くで歌っ…
一昨年のScriabin集がとてもよかったMelnikovの、今度はRachmaninov集。音の絵というとLugansky盤とAngelich盤が私のお気に入りだが、今回のMelnikov盤も(Op.39だけだが)なかなかいい線いっている。ただ全体としては前回のScriabinほどの感銘はなかったか…
この曲のCDを聴くのはこれが5枚目だが、Raatの演奏は全体的に遅めのテンポで丁寧に弾き進めているものの、メリハリというかリズムのキレにやや欠けるところがあり、技巧レベル的にはそれほど刮目するところはない。ただ最後のoptionalのカデンツァは曲の雰囲…
意外にもHoughのCDを取り上げるのはこれが初めてだが、残念ながら今回の新譜の印象は芳しくない。前半のMozartオリジナル曲は、整ってはいるもののどこかお嬢様芸的で、もう少し覇気というか生気というか、あるいは推進力、ダイナミズム、ドラマ性、そういっ…
以前のエントリでちょっと触れた、OppitzのBeethovenピアノソナタ全集(9CD)。やっと一通り聴き終えたところだが、全体的な印象を表すキーワードは「安心感」「包容力」といったところか。解釈面ではハッとするようなところもない代わりに「?」と思うような…
Tchaikovskyの3大バレエ組曲の4手ピアノ版(編曲者はそれぞれ別)を1枚に収めるという、なかなか面白そうな企画のCD。と思ったのだが、聴いてみると面白さはもう一つだったか。編曲・演奏ともそれほど悪くないとは思うが、たとえばPletnevやWildの(一台用の…
デビュー盤を聴いて大いに注目して以来、第2弾が待ち遠しかったSchuchの新譜。今回収録のソナタは実はそれほど好きな曲というわけでない(18番はむしろ苦手曲)ので、普通の奏者だったらまず手を出さないであろうCDだが、そこはそれ彼に対する期待の大きさの…
Hamelinの話題の新アルバムということで迷わず買ったのだが、正直なところそれほど楽しめなかった。演奏がどうのというより、曲自体に対する好みの問題だろう。そもそも普段ジャズはほとんど聴かないが、ただ全くダメというわけでなく、Jacques LoussierやBr…
先日のエチュード集が好印象だったので勢いで買ってみたもの。2枚組でCD1はChopinの(ややマイナーな)小品集、CD2はBach, Beethoven, Brahmsとオーソドックスな曲目となっている(CD2のみライヴ)。全体的に指回りの良さは相変わらずだが、今回は曲自体がエ…
アルペジオーネで弾いたSchubertのアルペジオーネソナタは、一昨年のDarmstadt盤で初めて聴いたのだけれど、今回も同じ趣向のCD。Darmstadt盤を聴いたときは、アルペジオーネの独特の音色に強い印象を受けたので今度もそれを予想していたら、意外にも今回は…
LifschitzはDENONへのデビュー盤以来その類いまれな音楽センスに一目置いていたものの、彼の志向する音楽が私の好みと少し違うかなというところもあってあまり熱心には聴いてこなかったのだが、今回のアルバムは選曲も面白いこともあって購入。結果的にはか…
Viziは2000年の浜コンの4位入賞者で、派手な技巧を披露するコンテスタントが多い中、3次予選はDiabelli変奏曲のほぼ1曲で勝負するなど渋めの端正な演奏で玄人受けタイプだったと記憶している。今回はSchubertとLisztからなる'Voyage'と題するアルバムだが、…
前々回のコメントで教えて頂いたNeuburgerのChopinエチュード集。16歳時の録音(しかもピアノを始めたのは9歳らしい)ということだがそれにしては技術的完成度が高く、指回りの良さはかなりのもの。音の粒立ちの良さは(コメントにもあった通り)横山盤に通…
Podger/Cooperコンビによるこのシリーズの第5集。今回もいい仕事はしているのだけど、正直なところ、これまでよく聴いていたBanchini/Vesselinova盤の方がやっぱり聴いていて気持ちがいいな、ということを再認識する結果となった。Podgerのヴァイオリンは上…
Beethovenの再録、Bachの再録と、このところ私にとってはあまり芳しくない結果になっているものの、まだまだ気になるヴァイオリニストであるTetzlaffの新譜。結果としては今回も、普通に良い演奏だとは思うが、強く惹きつけられるところまではいかなかった。…
前回記事のコメントに触発されて、テクニックについての私の考えを。といっても当たり前のことも含まれていると思いますが。ピアノ演奏におけるテクニックには、広義と狭義の2つがあると思っていて、狭義のテクニックはいわゆるメカニックと呼ばれる、主に…
Cziffraのディスクは詳しくないので店頭でたまたま見かけて買ってしまったのだが、後で調べたら過去に仏EMIから出ていた格安8枚組に含まれていた曲のようで、ちょっと早まったか。でも最初のBeethovenを聴いて、そのツボを押さえた端正な演奏にちょっとCziff…
前回のCDと同時にもう一枚リリースされていて、こちらはオルガン編曲集だが、全体的な印象は前回と同じ。どうやらBachを現代的な感覚でアレンジする、ということではなく、あくまで当時の様式、奏法に従って演奏するというのがコンセプトらしい(というか、…
音楽三昧は、以前Ravelのクープランの墓などが入ったCDが結構印象に残っていて、今回のJ.S.Bachも期待して購入。結果としては予想に比べるともう一つだったか。Ravelでは割とPOPな味付けというか、遊び心が感じられるところが魅力だったが、今回は総じて真面…
一昨年のEsquire日本版のクラシック特集がなかなか良かったので味をしめて今回のピアノ特集も購入。まだ全部は読んでいないが、ピアノ関係ということで周知のことも多く、前回ほどは面白くなかったか。(そもそも普段ピアノをそれほど聴いていない人向けの特…