Ferenc ViziのSchubert & Liszt

[Satirino SR071]

Viziは2000年の浜コンの4位入賞者で、派手な技巧を披露するコンテスタントが多い中、3次予選はDiabelli変奏曲のほぼ1曲で勝負するなど渋めの端正な演奏で玄人受けタイプだったと記憶している。今回はSchubertとLisztからなる'Voyage'と題するアルバムだが、目当てはWagner/Lisztのタンホイザー序曲。この曲は、良い曲の割りに録音が少なく、しかも今まで十分に満足できる盤に出会えていないということで新譜を見るとつい手が出てしまうのだが、結果的には今回もハズレ。技巧不足のせいか難所でタメやルバートが多いし、解釈的にも身振りが大きく勿体ぶったような表現が鼻につく。その前に入っているさすらい人幻想曲は浜コン時の演奏を思い出させるような明晰で端正なスタイル(逆にロマン的香りはやや不足)だったので、タンホイザーもその路線を期待したのだが…。ちなみに併録のダンテソナタも今ひとつ。