Ilya GringoltsのErnst作品集

[Hyperion CDA67619]

デビュー盤のPaganiniを聴いて以来、なにかと気になる存在であったGringoltsの、今回はHyperionへの録音。Ernstはあまり詳しくなく、今回も聴いたことがあるのは有名な夏の名残のバラ変奏曲と魔王だけなのだが、その2曲から判断するに、彼の演奏は繊細さとか精密さよりも、アグレッシブで勢いのある表現やラプソディックな歌い回しで魅力を出すタイプ。その分多少大味というか不明瞭になる部分もなきにしもあらずだが(例えば名残のバラの第4変奏のハーモニックス部分)、特に魔王では正確さを追求するあまりパッションに欠ける演奏よりはこちらの方が私好みである。