Gerhard OppitzのBeethovenピアノソナタ全集

[KDC 8001]

以前のエントリでちょっと触れた、OppitzのBeethovenピアノソナタ全集(9CD)。やっと一通り聴き終えたところだが、全体的な印象を表すキーワードは「安心感」「包容力」といったところか。解釈面ではハッとするようなところもない代わりに「?」と思うような場面もなく、ツボは確実に押さえていて、そういう意味で安心して聴ける。包容力を感じるのは響きの豊かな録音のせいもありそうだが、ただ残響が多すぎてアーティキュレーションなどの明晰性が多少失われている嫌いはある。また個人的には(例えばSchenck盤のように)もう少しエッジの効いた表現があるとさらによかった。

そんな中で気に入ったのは、Op.2の3曲(1-3番)が入った一枚、Op.31の3曲(16-18番)が入った一枚、それに22,24,29番が入った一枚で、これらは折に触れて繰り返し聴くことになりそう。9CD中、そのようなCDが3枚というのは打率としてはそれでも良い方なのかもしれない。