Rafal Blechaczのウィーン古典派ソナタ集

[DG 4777453]

以前の記事でも書いたように、Blechaczの浜コンでのBeethovenソナタ第2番の演奏は私のお気に入りだっただけに、今回のCDのリリースは非常に楽しみにしていたのだが、残念ながら結果は期待通りというわけにはいかなかった。実際には浜コンと今回のCDとで解釈的に大きく違うわけではないのだが、ただ今回の方が全体的に細かな「間」やニュアンスが減ってストレートな表現に傾いたような印象を受ける。それが端的に現れたのが終楽章のロンド主題の弾き方で、素早く上行してから一気に下がった直後の部分、ここでためらうように微かなタメを入れることで優美さを醸し出すことをよくやるのだが、浜コンでのBlechaczはその匙加減が絶妙で、そこに彼のセンスを感じたのだが、今回のCDではそれがあまり目立たなくなってしまった。また録音のせいだと思うが全体に音が硬質かつクリア過ぎ、もう少し間接音を取り入れるなどして陰影や潤いが欲しいところ。Mozartも、終楽章はよいのだが第1楽章は(確かに流麗だけど)個人的にはサラサラ流れ過ぎ、という感じである。(この間の音コン3次でもそういう演奏があったが。)