第12回浜松国際ピアノコンクール2次予選第1日

2次予選の課題曲は、古典派、ロマン派、近現代(それぞれ作曲家の指定あり)のうち2つ以上の異なる時代区分から2作品以上、およびコンクール委嘱作品を合わせて40分以内で演奏するというもの。

いつものように本日印象に残った演奏を挙げていく(演奏順)。

Maximilian KromerのBeethoven ソナタ第1番とFranckの前奏曲、コラールとフーガ。

www.youtube.comBeethovenは端正な正統派という感じで完成度が高い。Franckも繊細で透明感のある音が魅力。コラール部分の手が交差するところで多少ミスタッチがあったのが惜しい。

佐川和冴のHaydn ソナタHob.XVI:32。

www.youtube.comこちらのHaydnも完成度が高く模範的と言えそう。ちなみこの後弾いたBrahmsもよさげではあったが私の苦手曲なので印象に残る曲に挙げるのはちょっと憚れる。

Lun Sherri Hoi-ChingのBeethoven ソナタ第24番とFranck 前奏曲、コラールとフーガ。

www.youtube.comBeethovenは細かな表情付けがあって全体的にチャーミングな仕上がり。Franckの方はKromerに比べると音の陰影は少な目だがミスが少なくこちらも悪くない出来。

David ChoiのHaydn ソナタHob.XVI:23とRachmaninov ソナタ第2番(1931年版)。

www.youtube.comこのHaydnもツボを押さえた好演。そしてRachmaninovは今日聴いた中では一番印象に残った演奏かも。音が澄んでいるというか、強和音でも音がモコモコと籠ったりせずにヌケがよいのが魅力的。

Robert BilyのBeethoven ソナタ第31番とDebussy ピアノのために。

www.youtube.comBeethovenはロマン的というより落ち着いて清潔感のある演奏。Debussyも指回りが冴えている。

ちなみに今回の委嘱作品もいつもの浜コン委嘱作品と同系統の、ビート感のない、よくあるタイプの現代曲という感じで、要するに私の好みではなかった。(これまで浜コンの委嘱作品で面白いと思ったのはビート感のあった第6回の「ムジカ・ナラ」くらいである。ちなみにこのときは2作品の中から1曲選択するようになっていて、ほとんどの演奏者がこちらを選んでいた。)

あとちょっと驚いたのは今回の委嘱作品は全員が譜面を見て演奏していたこと。私の覚えている限りではこれまでは全員暗譜で弾いていたと思うが、時代が変わったということか(あるいは何か規定が変わった?)。

なお最初の記事で書いたように今回は2次の1日目までのチケットしか買えなかったので、ホールで直接聴いての感想は今日が最後となる。(その後は配信動画を見ての感想を書くかどうかは未定。)