Sara Davis BuechnerのJ.S.Bach/Busoniゴルトベルク変奏曲ほか

[KOCH KIC-CD-7739]

昔、Rheinberger/Reger編曲によるゴルトベルク変奏曲というのを聴いたことがあったが、Busoniも編曲を残しているとは知らなかった。と言っても、シャコンヌとか一連のオルガン曲の編曲のような、モダンピアノの特性を活かしたゴージャス路線の編曲ではなく、いわゆるBusoni解釈版の楽譜のように、彼の目で見て演奏効果が上がるように手を加えたもの、と言った方が合っている。それでも第29変奏のように結構大胆に変えているところもあり、実際そちらの方が聴いていて面白かったりして、この調子で全編彼風にアレンジした方が却って聴き応えというか存在意義があったかも。他にもピアノ協奏曲第1番の編曲や、平均律のプレリュードとフーガを同時に弾くような編曲もあって収録曲は結構面白いのだが、ただBuechnerの演奏はときに明瞭さを欠くところがあり、全体的にもう一段の冴えが欲しい。