2008年シドニー国際ピアノコンクール・ソロハイライト(その3)

[ABC 476 6929]

CD3は'Great Sonatas and Showstoppers'。ここで印象に残ったのは、Charie Albright(入賞外)のBeethovenソナタ第28番、Ran Dank(3位)のScriabinソナタ第9番、David Fung(入賞外)のラ・ヴァルス。AlbrightのBeethovenはドイツ風のがっしりとした解釈ではないが柔軟で歌心に溢れているのが魅力。Scriabinは終盤の追い込みが猛烈。ラ・ヴァルスは音の追加が意欲的である。一方、CD1,2で魅力的な演奏を聞かせていた人たちがここではちょっと低調で、Shamray(1位)のBeethovenハンマークラヴィーア(第1楽章のみ)は全体的に今ひとつ、Dank(3位)のRachmaninovソナタ第2番はちょっと荒っぽく、Zuber(5位)のLisztスペイン狂詩曲は3度など技術的精度で不満が残る。それでもこれら演奏者はそれぞれBeethoven賞、Rachmaninov賞、Liszt賞を受賞しているということなので、ひょっとしたらこれも好みの問題なのか。