2011-01-01から1年間の記事一覧

Gregorio NardiのLisztアルバム

'Rare Piano Works'と題されているが、それほど珍しい曲はなく、B-A-C-H主題による幻想曲とフーガなどむしろよく弾かれる曲も含まれている。演奏に関しては、技巧は水準以上だし解釈もツボを押さえていて悪くないのだが、ドライな録音のせいか少しパサパサし…

Lise de la SalleのLisztアルバム

la Salleは2枚目のBach&Listアルバムが秀演だったが、今回のは曲によって良い出来とそうでないものに分かれるようである。イマイチだったのはダンテソナタやバラード第2番で、Krichel盤を聴いた後ではいかにも大味で表面的に聴こえる。「なぜここでそういう(…

Alexander KrichelのLisztアルバム

Krichelは1989年生まれのドイツ人ピアニストで、これがデビュー盤とのこと。ライナーでは、Lisztを弾くけど技巧顕示的な演奏とは一線を画したい、みたいなことを言っているが、確かにどの曲も派手さはないがじっくりと音楽と真正面に向き合っているような演…

Freddy KempfのRachmaninov, Busoni, Ravel & Stravinsky

Kempfの新譜は近代物を並べたもの。私の苦手のコレッリ変奏曲が含まれているので、ひょっとして彼のセンスをもってすれば曲の良さをわからせてくれるかもと期待したのだが、残念ながらそうはならなかった。(もっともこれは彼の責任というより曲自体の問題だ…

Boris BerezovskyのBrahmsピアノ協奏曲第2番ほか

Berezovskyは個人的にそれほど食指を動かされるピアニストではなく、今回のCDも普通だったらスルーするところだったが、レコ芸のレビューでテンポがとても速いということを聞いてちょっと興味が湧いて購入。聴いてみると、これが大変な名演であった。確かに…

David Theodor SchmidtのJ.S.Bachパルティータ第1,2番ほか

最初に聴いたパルティータ第6番を含むBachアルバムが強く印象に残っているSchmidtが、今度は1,2番とLiszt編のオルガンのための前奏曲とフーガ3曲を入れたアルバムをリリース。早速聴いてみたのだが、結果はちょっと期待ハズレ。特に2番の方は推進力というか…

Florian Feilmairのデビュー盤

これも同じくAmazonメールで知ったもので、こちらは新譜。ダンテソナタが含まれていたことが決め手となって(デビュー盤はその人の最も得意とする曲が含まれていることが多いので)購入。そのダンテは多少音が荒いかなと思う以外はなかなか良い調子で進んで…

Yuri RozumのLisztアルバム

Amazonで一度CDを買うと、こんなCDもどうですか、というメールがしょっちゅうくるが、これもそれで知ったもの('95年録音)。Rozumは1954年ソ連生まれで今回初めて聴くが、Schubertの編曲物を聴く限りは技術・音楽性ともなかなか筋の良いピアニストという印象…

Murray PerahiaのJ.S.Bachピアノ協奏曲集

これも3枚組で1700円と、安さに釣られて買ってしまった。PerahiaのBachはMozartやBeethovenと違って実はそれほど好きではないのだが、今回の協奏曲を聴いてもその印象はあまり変わらなかった。リズムやタッチがキッチリしていて技術的にも実に安定しているの…

Nelson GoernerのLisztアルバム

以前彼が別々に出していた2枚を1組にまとめて安くしたもので、1枚目の方(超絶技巧練習曲)は既に持っていたけどこの機会に購入。超絶の方の出来から2枚目の方も期待していたのだが、結論からするとやや微妙。ロ短調ソナタなどツボを押さえており、とりあてて…

Dezso RankiのChopin前奏曲集

Chopin前奏曲集つながりということで、これも以前買って感想をまだ書いてなかったもの。こちらはサッパリとして健康的なChopinという感じ。もう少し繊細さや抒情性があってもよい気がして、ナヨナヨしたり感傷的になり過ぎるのも考えものだが、そこらへんの…

Alexandre TharaudのChopin前奏曲集ほか

同じTharaudということで思い出したが、以前買って感想を書き忘れていたもの。印象を一言でいうと、前半最高、後半はもう一つといったところ。前半での微に入り細を穿つような緻密さと技のキレは今まで聴いたベストかも、と思わせるのだが、後半になるとやや…

Alexandre TharaudのScarlattiソナタ集

何かと気になるピアニストであるTharaudのScarlattiということで買ってみたが、全体的にやや音が硬い感じ。もう少し柔らかい音を織り交ぜるなど、音色の面で変化を付けられたらよいのではないかと思った。

Midori SeilerのJ.S.Bach無伴奏パルティータ集

SchubertやBeethovenのヴァイオリンソナタ集を聴いて以来、贔屓にしているSeilerがBachの無伴奏パルティータを出していたのをGramophoneのレビューを見て気がついて購入。そこでは良い評価は得られていなかったようだが、確かに緩徐曲ではちょっと粘り過ぎと…

Orloff & SpinnlerのJ.S.Bachトリオソナタ集(2台ピアノ版)

Bachのトリオソナタの2台ピアノ版という、今までありそうでなかったもの。4手で3声なので余った一本の手はどうするのかと思ったら、ときどき和音を補強する程度で、全体としては至って素直な編曲となっている。ただ聴いてみると意外とあまり面白くない。もち…

Louis LortieのLiszt巡礼の年全曲

Lortieは昔第2年を出しているので今回のはてっきり再発盤だと思ったら、すべて新録音とのこと。一聴してピアノの響きの美しさにハッとする。旧盤も音がよかったが今回はFazioliを使っているせいかさらに磨きがかかったようである。こういう美しい音を出すと…

Hiaou ZhangのLisztアルバム

Zhangは1984年中国出身のピアニスト。全体的な印象は、指回りはそこそこなんだけど音楽性の面でいま一つ表面的というかしっくりこない。Horowitzコンクール2位とのことだが、技巧の方も特に目を引くというほどでもなく、Horowitz編のハンガリー狂詩曲第2番も…

Steven MayerのWagner & Weber/Liszt編曲集

NaxosのLisztピアノ曲全集Vol.33はMayerによるWagnerとWeberの編曲集。興味の中心はいつものことながらタンホイザー序曲だが、出来の方はイマイチ。全体的に指回りがもっさりしていて最近聴いたSun盤に比べるとその落差は大きい。それ以外の曲も今ひとつ精彩…

Sandro Ivo BartoliのLiszt/Busoni編曲集

Busoni編曲のLiszt作品を集めたアルバム。コンセプトは非常によいのだが、残念ながら演奏の方は心許なく、技巧的に鮮やかという言葉には程遠い。全体的にテンポが遅く、知らない人が聴いたらBusoni編はこんない遅いテンポなのかと思ってしまうかも。パガニー…

Dejan LazicのBeethovenピアノ協奏曲第4番ほか

独奏曲に比べて協奏曲になると今ひとつ大人しく感じられるLazicだが、今回のBeethovenはvirtuosicなところなど吹っ切れた表現を見せ、彼らしさが現れている。特に自作のカデンツァは少しLisztを思わせるところもあってこの盤の魅力の一つになっている。ちな…

Alexander MelnikovのBrahmsピアノソナタ第1,2番ほか

このところScriabinやShostakovichでいい仕事をしているMelnikovだが、今回のBrahmsもやはり素晴らしい。1,2番ソナタは若書きということでBrahmsの作品中でもそれほど重視されていないと思うが、彼の十分に練られた演奏を聴くとBeethovenのソナタにも匹敵す…

Roger MuraroのBerlioz/Liszt幻想交響曲ほか

今年はLiszt Yearということで普段あまりリリースされないこのような曲も録音されるのは嬉しいところ。(この調子で続いてくれればいいけど…。)が、演奏の方は(健闘はしているものの)やはり満足というところまではいかない。この曲の演奏の中ではそれでも…

Konstantin LifschitzのJ.S.Bachフーガの技法

以前出たBachアルバムがまずまずの好印象だったLifschitzだが、今回のフーガの技法は、直前に聴いたDinnersteinの表情豊かなBachと比べると、(曲自体が異なるので単純比較はできないとはいえ)ちょっと淡々とし過ぎている。1つの曲の中での変化が乏しいの…

Simone Dinnersteinの’Bach: A Strange Beauty’

Goldbergやベルリンコンサートで見せた柔らかくしなやかなBachが印象的なDinnersteinの新譜。今回のCDを聴いてますます彼女の演奏に魅せられてしまった。相変わらず響きが美しく、一つ一つのフレーズが細やかな表情に満ち、また自由で瑞々しい。特に気に入っ…

Florian UhligのShostakovichピアノ協奏曲第1&2番ほか

去年買ったBeethoven変奏曲集が好印象だったので、2004年頃に出ていたShostakovichも買ってみた。予想通り端正で癖がなく悪くはないのだが、ごく普通の演奏という印象。独奏ではなく協奏曲、また前回のBeethovenと違って競合盤も多い曲ということで、個性や…

Maurizio BagliniのBeethoven/Liszt交響曲第9番

これも超絶と同時にリリースされたものだが、こちらの方がBagliniの良い面が出ているように思う。実際、9番に関しては4手版の方が好きでソロ版はあまり聴いていないのだが、これを聴いてソロ版も悪くないと思えるようになった。彼の音色やタッチをコントロー…

Maurizio BagliniのLiszt超絶技巧練習曲集

以前出たBach/Busoni編曲集での多彩な音色やタッチの使い分けが印象に残るBagliniの超絶ということで、きっと正統的というか通り一遍の演奏にはならないだろうと予想していたが、それは当たっていたものの、エチュードで肝心となるメカニックのキレやスピー…