Alexander KrichelのLisztアルバム


Krichelは1989年生まれのドイツ人ピアニストで、これがデビュー盤とのこと。ライナーでは、Lisztを弾くけど技巧顕示的な演奏とは一線を画したい、みたいなことを言っているが、確かにどの曲も派手さはないがじっくりと音楽と真正面に向き合っているような演奏。冒頭のバラード2番での歌心や表現の確かさにも感心したが、最大の収穫は最後に置かれたダンテソナタ。技巧、解釈、音の充実度、どれも飛び抜けているというわけではないが、穴が無いという点で総合的には手持ちのCDの中でも五指に入るのではないか。(欲を言えばコーダのPresto跳躍部はさらにもう少しleggieroなタッチが欲しかったが。)こういうことがあるからマイナーなCDのチェックも疎かにできない。