Freddy KempfのRachmaninov, Busoni, Ravel & Stravinsky

Kempfの新譜は近代物を並べたもの。私の苦手のコレッリ変奏曲が含まれているので、ひょっとして彼のセンスをもってすれば曲の良さをわからせてくれるかもと期待したのだが、残念ながらそうはならなかった。(もっともこれは彼の責任というより曲自体の問題だと思うが。)続くシャコンヌRavelも今ひとつで、今回のCDは(も?)残念な出来かと思ったら、意外にも最後のペトルーシュカがなかなか聴かせる。例によって細部の精度で気になるところはあるが、全体を通してリズムが実に生き生きとしており、打鍵にも勢いがあって、難所でも腕が縮こまっていないのがなんとも清々しい。よくも悪くも彼のピアニズムの特徴はこの曲に一番現れているようである。