Yevgeny SudbinのLiszt & Ravel
Sudbinはこれまで何枚か聴いていてそれほど魅了されるピアニストではないのだが、曲目に惹かれて買ってしまった。が、やっぱり印象はこれまでとあまり変わらず。どれも悪い演奏ではないし、彼の特徴(?)といえる左手の存在感が面白い部分のあるのだが、繰り返し聴きたいというほどには至らない。たとえば夜のガスパールだったら最近(もう最近でもないか)聴いたSchuch盤やGrosvenor盤の方がずっと印象に残る。
Murray PerahiaのBeethovenピアノソナタ第4 & 11番
かねてからCD化を待ち望んでいたPerahiaのベトソナ4&11番だが、彼の40周年記念ボックスに含まれる形での初CD化となった。そのうち分売されるかもということで迷ったが、いつになるかわからないということで結局購入。というわけでまたしてもSony Classicalの抱き合わせ商法にやられてしまった(笑)。全集嫌いなのでこんなに大部のセット物を買ったのは初めてである。救いは68CD+5DVDで1万円ちょっとという安さか(最近では珍しくないが)。
何年かぶり(10年ぶり以上?)に聴いてみたが、自分の頭の中で勝手に美化が進んでしまったせいか正直「アレこんなだったっけ?」思うところもないこともないが、それでも自分の理想に一番近いところにある演奏であることには確か。ただ何たることか重大な欠陥があって、11番第1楽章冒頭の1小節が欠落している(CD化時の編集ミス?)。演奏が素晴らしいだけに非常に残念である。
Marianna Shirinyanのソロデビュー盤
Shirinyanはアルメニア出身(デンマーク在住)のピアニスト。収録曲はダンテソナタ、Bergのソナタ、MozartのソナタK330、Mansurian(1939-)の作品ということで、普通なら買おうかちょって迷って結局保留、というパターンになりそうだが、ネットで試聴したところMozartがなかなか良かったのと、最後の現代曲も面白そうということで購入。結果として、ダンテソナタはイマイチだったが、Mozartは期待通り優美でかつ一本芯の通ったなかなかの好演、Mansurianの作品も私の好きなビート感のあるタイプの現代曲で、ちょっとJazzのテイストも入ってて(Shchedrin風?)、繰り返し聴きたくなるような曲。総体として、技巧的にテクニシャンというわけではないけれど、センスのよいピアニストという印象である。
Ashley WassのBeethoven/Liszt交響曲第6番
少し前のMartynov盤と同じく時代楽器を使っての演奏だが、こちらの方がグッと心に残るものがある、というかこれまで聴いた中でもGould盤に次ぐかもしれない。Gould盤と同様に全体的にゆったりかつ一貫性のあるテンポで、また時代楽器特有の鄙びた音色と相まって田園らしいマッタリとした雰囲気が漂う。特に終楽章はテンポ設定といい終盤のトレモロの弾き方といい、Gould盤の影響を受けたのではないかと勝手に想像していまう。(彼自身によるライナーにはそんなことは書いていないが。)残念なのは、多分使用楽器の機能でバネを振動させたような特殊効果音(?)をときどき鳴らすことで、個人的にはこれは耳障りにしか聴こえない。
Stephen Houghの’French Album’
最近のHoughのソロアルバムはあまり感心しないことが多いので今回も買おうか迷ったが、結論としては久々の当たりと言えそう。冒頭のBach/Cortot/Houghのトッカータとフーガから動きにキレがあるし、道化師の朝の歌も模範的とも言ってよい演奏。他はFaure、Chabrie、Poulencなどあまり詳しくない曲なのではっきりとは言えないが、急速な曲でのシャープでかつデリケートなタッチがいかにも彼らしい。