Hardy RittnerのChopinエチュード全集
1835年製Conrad Grafピアノを使用。時代楽器による演奏は他にKhouri盤を聴いたことがあるが、それに比べるとよほどしっかりしているというか、時代楽器による演奏という意味では(それ以外の盤を聴いてないのに言うのもなんだが)1つのスタンダードたりうる演奏と言ってもよさそう。技術的にも解釈的にもあまりケチをつけるところがない。逆にKhouri盤のような突飛(?)な解釈がないのと、現代ピアノのような輝かしい音がないのはちょっと物足りないが、Chopin自身はこういう音を聴いていたのだなと思いを馳せるのも悪くない。
Banchini & BoetticherのJ.S.Bachヴァイオリンソナタ全集
BanchiniはKuijkenと並んでバロックヴァイオリンでは私の最も好き&信頼している奏者だが、その彼女の久々(?)のBach。演奏は期待通り、表情が非常に豊かで伸びやか、また音の運びに勢いがあって退屈さを感じさせるところがない。この曲はそれほどいろいろな演奏を聴き比べているわけではないが、かなり満足な出来で、今後の愛聴盤になりそう。
Seiler & ImmerseelのBeethovenヴァイオリンソナタ全集
1,2,3番を収めたアルバムが'07年に出てからとんと音沙汰がなかったので、てっきり頓挫していたものと思っていたら、このたび全集がリリース。ただその間に素晴らしいKurosaki & Nicholson盤が完結しており、それと比較すると正直いまひとつ感が否めない。特に顕著なのがKreutzerソナタで、技術的制約からか急速部分でもテンポが上がらずもどかしいし、緊迫感にも欠ける。全体を通して唯一、私の好きな第8番だけはKurosaki盤とは別の魅力が感じられたが…。