Junghänel/Cantus CöllnのJ.S.Bach小ミサ曲集

Junghänel/Cantus Cölln [HM

J.S.Bachのモテット集では私の愛聴盤となっているKonrad Junghänel(コンラート・ユングヘーネル)&Cantus Cölln(カントゥス・ケルン)が小ミサ曲集BWV233-236を録音したということで買ってみました。小ミサ曲集は実は今までちゃんと聴いたことがなくて(ロ短調の方は大好きなんですが)、他にはHerreweghe盤が手元にあるのですがこれも今回、他に持っている盤はないかと探してみて初めて持っていることに気が付いたくらい、というわけで今回はほとんど初めて聴くようなものです。

感想はというと、いや〜こんなに良い曲だとは知りませんでした。これまでこの曲をあまり聴いていなかったのは、ロ短調に比べると録音が圧倒的に少なく、そもそも話題に上ることも少なかったせいだと思いますが、これを聴くとちょっと勿体なかったです。話題に上ることが少ない理由として、大部分がカンタータからの転用で、また寄せ集めことで低く見られていることがあるのだと思いますが、逆に言うとBach自身がカンタータだけに埋もれさせておくには惜しいと思った自信作を選んで構成した、いわば自身によるベスト・セレクション集(?)という性格もあるはずで、そう意味では悪かろうはずがないんですよね。例えばKuijkenのカンタータVol.5で堂々たるフーガだと思った179番や17番の最初の合唱がこちらにも転用されていて、Bachも気に入っていたのだと思うと(趣味が合ったようで)ちょっと嬉しくなります。

演奏も十分に満足いくもので、実のところモテット集の後に出た彼らのロ短調ミサは期待が高過ぎたせいかやや微妙でしたし、少し前に聴いたBuxtehudeのカンタータも今ひとつで、彼らもやや衰えが見えるのかなと思ったのですが、今回は声楽メンバーが大分入れ変わったせいもあるのかモテット集のような冴えが戻ってきた感じです。(もっともロ短調のように聴き込んでいる曲でないので一概に比較できませんが。)Herreweghe盤はソロはなかなか充実しているのですが、合唱曲は響きが柔らかい反面(特に急速曲では)キレに欠けるところがあって、その点1パート2人での今回の演奏は明晰かつ表情豊かです。ついでに転用元のカンタータの演奏(すべてKuijken盤)とも聴き比べてみたのですが、少なくともソロに関しては全体的にこちらの方が私の好みだった感じです。

というわけでとりあえずしばらくはこれが小ミサ曲の私のリファレンス盤になりそうです。