Rustem HayroudinoffのRachmanionv音の絵Opp.33&39

Rustem Hayroudinoff

Rustem Hayroudinoff(ルステム・ハイルディノフ)というと、'98年リリースのデビュー盤に含まれていたRachmaninovの2番ソナタが割と好印象だったのですが、こんど音の絵(全曲)を録音したということで、この曲集は意外と全曲盤が少ないということもあって買ってみました。(実はその間にもいろいろCDを出していたようですが。)

デビュー盤を聴いたときは、彼は技巧の切れ味で勝負するタイプと言うより(デビュー盤ではSchulz-Evlerの美しく青きドナウのようなヴィルトゥオーゾ曲も弾いていますが)、2番ソナタの演奏でも見られるように、楽曲に対する読みの深さのようなもので聴かせるタイプだと思ったので、そこに期待して聴いてみたのですが、残念ながら今回は期待したほどの出来ではなかったようです。全体的にオーソドックスな解釈・表現で、世間一般的にはそれほど悪くはないんでしょうけど、普段Lugansky盤やAngelich盤を聴きなれている耳からすると、特にOp.39の方では技術的にもう少しキレのよさやスピード感、細かい部分でのクリア感などが欲しいところですし、肝心の音楽性に関してもそれほど特徴的なところがなく、悪く言えば微温的です。録音に関しても、Chandosということで繊細かつ潤いのある響きを期待していたのですが割と大味というか、線が太い(極細ではなくやや太めのサインペンで書いたような)印象を受けます。

というわけでHayroudinoffも、私の頭の中の「ちょっと気になるピアニスト」リストからははずれて、「その他大勢のピアニスト」の仲間入りですかね…(「地雷ピアニスト」まではいきませんが)。