Khatia BuniatishviliのLisztアルバム

グルジア出身の若手ピアニスト、Buniatishviliのデビュー盤。Argerichからも賞賛されているとのことがだ、確かにこの盤を聴く限り、かなりの逸材、というか軽い衝撃を覚えた。ロ短調ソナタの急速なパッセージでの指回りは目を瞠るものがあるし、メフィストワルツ終盤クライマックス部分の追い込みも凄まじい(中間部の重音トリルがクリアだったらもっと良かった)。同系統(?)のArgerich好みのピアニストとしてTiempoやLeschenkoが思い浮かぶが、そちらがややイロモノ系(というと言葉が悪いが要はentertainer志向)の気があるのに対し、彼女はもっと正統派路線のように思われる。例えば冒頭の愛の夢第3番は格調高く歌っているし、最後の前奏曲とフーガBWV543の編曲版もLeschenko盤とは違って端正な表現はむしろla Salle盤に近い。(個人的にはLeschenko盤の方が面白いが。)ともあれ、当盤は今年(まだ半分以上残しているけど)最も印象に残るLisztアルバムになるかもしれない。