Mikhashoffのオペラ編曲集

Yvar Mikhashoff

エチュードの他に私の好きなピアノ曲の分野の1つに編曲物がありますが、今回取り上げるのもその1つで、Yvar Mikhashoff(イヴァ・ミカショフ)という作曲家兼ピアニストの編曲&演奏による種々のオペラ編曲集です。題材としているのはPuccini, Verdi, Bellini, Debussy, Berg, Bussotti, Volansのオペラ。Mikhashoffという人は(実は現代音楽の分野では割と有名な人らしいですが)あまり聞いたことのなくて、ハズレの可能性もあるのですが思い切って買ってみました。ちなみにリリースは2006年ですが録音は'92年です(なおMikhashoffは'93年にエイズで亡くなっています)。

感想としては、そこそこ楽しめた、というところでしょうか。忠実な編曲ではなく、オペラの有名な旋律を主題にした自由な編曲(いわゆるパラフレーズとか幻想曲というやつ)ですが、現代音楽の人にしてはわかりやすい曲、というかむしろサロン風な俗っぽさすら感じさせる編曲もあります。(もっともBussottiは多分原曲通りに「現代音楽」していて私にはついて行けませんでしたが。)演奏はカンタービレのセンスを感じさせるなかなかのもので、いわゆるアカデミック臭さはまったくありません。問題は必ずしも私が原曲をよく知っているわけではないということで、Pucciniの「私のお父さん」とかVerdiの「慕わしい人の名は」のような超有名なアリアくらいは何とかわかるのですが、そうでない部分は純粋にピアノ曲として聴く感じです(笑)。中で一番印象に残ったのは「『蝶々婦人』の肖像」で、これは技巧的なパッセージが散りばめられたヴィルトゥオーゾ的な(Liszt的な)曲で、コンサートピースとしても十分使えそうです。後は「ノルマ」より「清らかな女神」の編曲で、これはChopinの夜想曲で出てくるような細かい(10何連符といった)パッセージが印象的です。

ちなみに2枚組ですが収録時間は全体で90分足らずと、ちょっと中途半端になっていますが、これは残されていた録音を集めてCDにしたからかもしれません。