Markus BeckerのJ.S.Bach/Regerピアノ・トランスクリプション集

[Hyperion CDA67683]

Hyperionのこのシリーズはいつも買っているわけではないが、今回は弾いているのがMarkus Becker、そして私の好きなBWV532が入っているということで購入。そのBWV532は、有名なBusoni編に劣らず重厚かつスケールの大きな編曲でそれは悪くないのだが、その重厚さのためか特に後半は演奏上のタメやルバートが大きくなってしまうのが残念。この曲に限らず全般的にBusoni編の方がスピード感などピアニスティックな演奏効果を重視しているようで、一方Reger編はオルガンのストップ変化のような音色やソノリティの表現が豊か。ちなみに今回一番印象に残ったのはBWV548のフーガ(楔のフーガ)で、Lisztによる原曲に忠実な編曲ももちろんよいが、手練手管を駆使した多彩な音色やアーティキュレーションはLiszt編とはまた違った面白さがある。