Pietro De MariaのSchubertさすらい人幻想曲

Pietro De Maria

昨日は、KuzminのSchubertは愛聴盤となるまではいかないかな、なんて書きましたが、もっかのところ私の一番気にっているさすらい人幻想曲はというと、Pietro De Maria(ピエトロ・デ・マリア)によるライヴ録音です。2001年の録音で、他にはScarlattiのソナタ、Lisztのペトラルカのソネット第104&123番、ドン・ジョヴァンニの回想、Chopinの英雄ポロネーズ等が入っています。

一番好き、と言っても実のところは私はこの曲がすごく好きというわけでもなくて、というのもこの曲はSchubertにしては理に勝ったというか、彼らしくなく(?)カッチリとした構成で曲全体の統一感を重視して作曲しようとしているのですが(終楽章はフーガを取り入れたり)、それが彼特有の自由で伸びやかな歌を多少犠牲にしているのかな、一言で言うと少し堅苦しいかなという感じがするからで、というわけでCDもそれほど多くの盤を聴いたわけでもないのですが、De Mariaの演奏はその制約の中で生き生きと情感豊かに歌っていて、最初に聴いたときから非常に印象に残りました。また音が充実していて、高音から低音まで和音が気持ちよく響きます(個人的にはSchubertを聴く際はこの音の充実感がかなり重要なファクターです)。今回もKuzmin盤を聴いた後に(口直しというわけではないですが)また聴いてみてその良さを再確認しました。終楽章の高揚感には思わずゾクゾクっとしてしまって、なんだかんだ言ってやっぱりいい曲ですね。

ちなみに他の収録曲も彼の歌心が発揮された佳演揃いで、彼の美点がよく表れた一枚だと思います。