Christian TetzlaffのJ.S.Bach無伴奏ソナタとパルティー

Christian Tetzlaff

Christian Tetzlaff(クリスティアン・テツラフ)によるJ.S.Bachの無伴奏の2度目の録音。以前書いたようにTetzlaffは私の好きなヴァイオリニストの一人なんですが、実はそのきっかけとなったのはこの曲の最初の録音(旧盤)で、当時この曲に関する私の嗜好は時代楽器によるものへ移っていたのですが、彼の録音を聴いてその認識を改めたものです。(と言っても今でも時代楽器の方が好みですが。またTetzlaffの演奏も時代奏法を意識したものになっていると思います。)

ということで今回も大いに期待して聴いてみたのですが…。う〜ん、正直これは旧盤の方が良かったですね。少なくとも私の好みでした。テンポやフレージングなど、解釈の面では旧盤と大きな違いはないのですが、音に関して旧盤の方が魅力的だったように思います(これも個人的好みの面が大きいですが)。残響が多めな録音のせいもあると思いますが、旧盤の方が音が滑らかで、また楽器がふくよかによく鳴っていたように思います。今回の方がオン気味で、悪く言えばザラつきがある感じ。あと録音に関しては、定位が安定しないというか、音像が微妙に左右にふらつく現象があるのが非常に残念です(プレーヤを変えても同じだったので、再生装置の問題ではないでしょう)。また解釈に大きな違いはないと言いましたが、今回は細かいところで手癖みたいなものが多少出てきていて、旧盤の方が表現が端正だったかな。あと3番ソナタの終楽章など急速な曲での細かい音型も旧盤の方が滑舌がよかったように思います。というわけで、以前ここで採り上げたBeethovenのヴァイオリン協奏曲に関しても旧盤の方が好みでしたし、Tetzlaffに関しては残念ながら私にとっての旬の時期が過ぎてしまったのかもしれません。