TilneyのMozartクラヴィーアソナタ集

Colin Tilney

某ショップのワゴンセールでColin Tilney(コリン・ティルニー)のMozartクラヴィーアソナタ集(Vol.4)があったので迷いながらも買ってみました。収録曲はソナタの第3番と11番、幻想曲ニ短調K397、変奏曲K500とK54/547b。通常価格だったら多分手は伸びないものですが、時代楽器によるソナタはとりあえず押さえておこうと思ったのと、好きなソナタで3本の指に入る3番が入っているのと(ちなみに他は13番と16番。なぜかすべて変ロ長調)、逆にあまり聴いたことのない(初めて聴く?)K500とK54/547bが入っているのがポイントです。2003年録音。

実のところそれほど期待してなかったのですが、聴いてみても、やっぱりこんなものかな、という感じ(どんなだ?)でしょうか。全体的には(ジャケット裏写真のいかにも学者風の風貌が先入観になっているのかもしれませんが)学究的と言いましょうか、真面目でオーセンティックっぽい、シンプルで落ち着いた、悪く言えば地味な演奏です。問題の3番に関して言うと、この曲は冒頭などトリルが結構なポイントになっているのですが、そのトリルを音価いっぱいまで続けないで途中で止めるような弾き方をしていて、学者肌?の奏者のことですからきっと故あってのことなんでしょうけど、個人的にはちょっと違和感があります。また11番の終楽章は、もう少し異国情緒というかトルコ軍楽隊のドンチャカした雰囲気を出してくれるかと思いきや割合大人しい。同じく終楽章冒頭の前打音を短く弾く方法をひょっとして取っているかとひそかに期待しましたが普通の弾き方でした。またK500とK54/547bの2つの変奏曲は、愛らしくはあるのですが数回聴いただけではまだ余りピンと来ない曲で、演奏される機会が少ないのもわかるような気がします。

まあ、ツボは押さえていて悪くない演奏だとは思うのですが、他のVol.も是非聴いてみようという気にはならないというのが正直なところです。