私の好きなピアニストの一人であるNikolai Demidenko(ニコライ・デミジェンコ)の新しいScarlattiソナタ集が出ていたので早速聴いてみました。彼は以前にもSanctusというレーベルからもソナタ集を出しており、それも私のお気に入りでしたが、今度は別のレーベル(AGPL)からです。なお曲は全く重複していません。
Scarlattiのソナタは全集などを系統的に聴いているわけではなく、気になるピアニストが録音するとその都度買ってみる程度なのですが、それでもこれは質の高いソナタ集と言えると思います。前の盤と同様、ひと言で言うと「軽やかで品がよく、キレがある」というところでしょうか。音色やタッチの微妙な変化はもちろんありますが、Pletnevのようにやり過ぎた感じがないし、Pogorelichのような(彼の盤も嫌いではありませんが)神経質な感じもせず、全体的に明るく溌剌としています。K.445などはBabayan盤のような異様なキレはありませんが、同音連打などの技巧も冴えていて、まさにこの曲の王道を行くような演奏と言ってもいいでしょう。(もっと個性的な演奏を求める人には物足りないのかもしれませんが。)ただ音に関しては、以前のSactus盤と比べると(多分録音のせいと思いますが)以前の方が潤いと繊細さがあり、より魅力的であったような気がします。
それにしても、今回の盤でも全20曲のうち初めて聴く曲が1/3近くあって、やはりScarlattiは奥が深いなぁと思いました(555曲もあれば当然でしょうが)。