ChopinコンクールでのBlechacz

Rafal Blechacz(ラファウ・ブレハッチ)と言えば、前回の浜松国際ピアノコンクール(浜コン)でKobrinと最高位を分け合い、私も浜コンでは(2次で落ちたProjenkoを除いては)一番気に入っていたピアニストですが、現在行われているChopinコンクールに出場しており、その1次予選の模様がネットでライヴ放送されていました。

彼の浜コンでの印象というと、音がきれいで、センスがあって、テクニックも確かという、(以前私がブログで書いた)三拍子が揃ったピアニストで、特に繊細で詩情豊か、汚い音は決して出さないところが最大の魅力だと思いました。ただやや線の細いところがあり、本選のコンチェルトではその弱点が出てしまったのか音がオケに負けってしまってこぢんまりとした感じになり、それで1位が取れなかったのではいかと勝手に思っているのですが、それでも3次で弾いたBeethovenの第2番ソナタなど、今でも愛聴いています。

今回ネットで視聴したのですが、期待していた以上に良かったです。音はPCのしょぼいスピーカーなのですが、それでも彼の音のきれいさは伝わってきており、彼の美点は失われていないのがわかって嬉しく思いました。

最初の前奏曲はまだちょっと硬い感じがありましたが、エチュード(Op.10-8と10-10)は確かなテクニックを印象付け、次の舟歌が秀逸でした。正直私はChopinの曲の中では舟歌はそれほど好きではないのですが、この演奏は聴き惚れました。まさに詩情豊かという言葉が似合います。舟歌でこんなに感銘を受けたのはこれが初めてかもしれません。もしコンクールCDが発売されてこの舟歌が入っていたら是非買いたいところです。
(それにしても、浜コンで弾いたバラード第3番、スケルツォ第1番、Op.10-7などを今回ほとんどプログラムに入れていないのはレパを広げるという意味でもえらいですね。音コンと同じ曲を弾いていた人もいたのに比べると。実は個人的にはスケルツォ第1番をもう一回聴きたいと思っていたのですが。)

実のところネット放送で聴いたのはごく一部の人の演奏なのですが、その中では断然印象に残りました。(その他気になる人として音コンにも出ていた山本貴志君も聴きましたが、彼のもよかったです。鍵盤にへばりつくようなあの姿勢でよく弾けるなと思いましたが。)演奏後の聴衆の反応もすごく良かったので、*もしこの調子でいければ*今回かなりいい線までいけるのではないでしょうか。(前評判通り優勝もありえそうです。)