SudbinのScarlattiソナタ集

Yevgeny Sudbin

一昨日に引き続いて今日はYevgeny Sudbin(エフゲニー・スドビン)のScarlattiソナタ集を。これは少し前に出た盤で、最初に店頭で見つけたきは迷った挙句結局そのままにしておいたですが、Gramophoneのeditor's choiceにも選ばれていますし(これは結構アテになりませんが)、彼のデビュー盤ということでこの機会に買ってみました。

全体的な印象としては、いろいろアイディアが豊かで、もちろんテクニックも水準以上で悪くないのですが、中〜低音にかけてやや音に存在感があり過ぎるというか、音がズシリと重い感じがして、要するにScarlattiらしい軽やかさがもっとあるとよいかなと思いました。Demidenko盤に比べると表情の起伏が多めで、よりロマンチック路線と言えるでしょう。繰り返しでは違う声部を強調したり装飾音をつけたりと変化を付けるなどいろいろ工夫しています。特にK.455は面白く聴けました。(この曲は浜コンでのPirojenkoの演奏が好きでしたが、この演奏はさらにアイディアに満ちているという感じです。)一方、緩徐曲ではかなりテンポを落としてじっくりと歌うのですが(例えばK.466は7:48かけています)、やや沈滞している感もあります。

というわけで、なかなかの演奏だと思います。が、私の心をグッと惹き付けるところまでにはいかなかったというのが正直なところかも。彼は最近Rachmaniovのソナタを録音したようですが、これもまたしばらくは保留になりそうです。

なお、今日は音コンの本選を聴きに行ってきました。感想はここにあります。