Stefan IrmerのThalbergピアノ作品集

[MDG 618 1551-2]

ThalbergのCDはあまり出ていないので、新しいCDを見るとつい手が出てしまう。今回のはRossiniオペラ編曲物が2つ(「モーゼ」「湖上の美人」)と12のエチュードで、エチュードの方は多分初聴。Thalbergは、編曲物は良いけどオリジナル作品はつまらないというのが定説だけれど、残念ながら今回のエチュードもその線に近い。指の強化が目的で芸術性はそれほど考慮していないのかもしれないが、それにしてもCzerny的で面白みに欠け、改めてこの分野でのChopinとLiszt(そしてAlkanも)の偉大さを感じてしまう。一方の編曲物の方はやっぱり聴き応えがあり、演奏も技術的に安定していて悪くない。ただ(特に湖上の美人の方で)表情がやや機械的で、その点ではMarco PoloのNicolosi盤の方が表現がこなれて語り口も上手い。