Eric HimyのLisztアルバム

[CENTAUR CRC 2969]

Eric Himyというと、以前Ivory Classicsから出ていたRavel作品集が好印象だったので、今回のLisztも結構期待していたのだが、結果はちょっと残念なものであった。楽器(Steingraeberというあまり聞いたことのないピアノ)、あるいは録音のせいも多少あるのかもしれないが、タッチがやや不安定で、Ravelで見せたような溌剌として勢いのある打鍵はあまり見られない。ラ・カンパネラではBusoni版、メフィストワルツでも一部Busoni版を使っているほか、他の曲でもたびたび低音を補強したり、和音をアルペジオ化したりと、下品にならない程度に(多分彼オリジナルの)改変を加えているのは結構面白いだけに、技術的にもう少し冴えがあったらと思う。