Rustem Kudoyarovのデビュー盤

Rustem Kudoyarov

Rustem Kudoyarov(ルステム・クドヤロフ)という1970年生まれのロシア人ピアニストのデビュー盤。いや本当はデビュー盤かどうかわからないのですが(他にCDは出ていないようなので)多分そうでしょうということで。曲はGubaidulinaのシャコンヌ、Lisztのスケルツォとマーチ、ポロネーズ第2番、ChopinのエチュードOp.10全曲、Dubugnon(1968-)の3つの舞曲Op.20というなかなか意欲的なもの。ちなみに最後のDubugnonは世界初録音とのこと。

最初のGubaidulinaのシャコンヌは、去年の浜コンでKuznetsovが弾いたのを聴いていいなと思った曲で、実はこの曲と次のスケルツォとマーチが目当てで買ったと言ってもよいのですが、期待通りの演奏。聴き込んだ曲ではない(Kuznetsovの浜コンライヴCDも買っていない)ので他盤と比較してどうこうと言えないのですが、メリハリがあって十分に満足できる出来です。そして問題のスケルツォとマーチも、もちろん100%とはいきませんがかなり健闘しています。全体的に速めのテンポでスムーズに弾いており、この曲のCDの中でも個人的にはDemidenko盤に次ぐ位置を占めるかもしれません。経歴を見てもメジャーなコンクールでの入賞歴がないので技術的にどうなんだろと聴く前には少し不安があったのですがいやいやどうしてなかなかのテクニシャンです。(ジャケ写真を見るとごく優しそうなお兄さんですが(笑)。)そしてそのテクニシャンぶりが遺憾なく発揮されたのが次ぐのポロネーズ第2番。実はこの曲は今まで余りピンとこなかったのですが彼の演奏を聴いて、なるほど技巧的にかなり面白い曲だということが遅ればせながらわかりました。今回これが聴けただけでも収穫です。一方ChopinのOp.10もどれも勢いがあって溌剌としているのですが、たとえば10-2での粒の揃いなど細部の精度というか丁寧さがもう少し欲しいところ。指がよく回るのはわかるのですが多少イケイケドンドン的な傾向があります。最後のDubugnonはScriabinあるいはMessiaen風の比較的わかりやすい曲で結構楽しめました。というわけでちょっと前のDavid Tong盤に続いてデビュー盤では2連勝(?)といった感じです。