Nikolai DemidenkoのChopinアルバム

Nikolai Demidenko

お気に入りピアニストの一人であるNikolai Demidenko(ニコライ・デミジェンコ)によるChopinの新譜。曲はロンド3曲(Op.1,16,73)、舟歌ポロネーズOp.71-1、アンダンテ・スピアナートと華麗な大ポロネーズ。最近はもっぱらこのAGPLからリリースされることが多いのですが、Hyperionとの契約はもう終わってしまったのでしょうか。

全体的な印象としては、優美というか優雅というか、あまりガツガツセカセカしないという方向。ロンドや大ポロネーズなど指回りを誇示するような曲でもあくまで美しく歌を聴かせることを追求している感じです。もっともこれは最近始まったことではなく、Hyperionに入れたChopinでも、バラード1番やスケルツォ1番の出だしのフォルテを拍子抜けするくらいに軽く弾いていて、(それまでは、特にコンクールなどでは、この冒頭の音を渾身(?)の力を込めて弾く例を多く耳にしていたので)こんなやり方もあるのだなと当時目から鱗だったものです。テンポに関しても全体的に緩やかで、ロンドなどはA主題では普通のテンポなのですが、B,C主題になるとテンポをグッと落として抒情的に歌っていたり、華麗な大ポロネーズの中間部でもかなりテンポを落としているところは個性的な解釈と言えるでしょう。舟歌にも10分以上をかけていて(ちなみBlechaczのショパンコンクールでの演奏が8:43)、しかもダイナミックレンジも小さめなので静かな波に揺れているといった感じです。多少盛り上がりに欠ける面はありますがしみじみとした歌があって単調にならないのはさすが。

全体的に派手さはないですが噛めば噛むほど味が出そうで、なかなか気に入っています。