Andreas BoydeのBrahmsピアノソナタ第3番ほか

Andreas Boyde [OC 585]

Brahmsの3番ソナタはそれほど好きな曲ではないのですが、以前(このブログでは採り上げませんでしたが)Andreas Boyde(アンドレアス・ボイデ)の弾く1番&2番のCDを聴いたときこれはなかなか悪くないんじゃない?と思ったということもあって今回の3番も買ってみました。併録はSchumannの主題による変奏曲と4つのバラード。2枚組です。

感想としては、期待の高さからするともうひとつでしたかね。まあ立派な演奏と言えますし、全体的にスマートで抜かりがなく、ある意味模範的ではあるのですが、どこか食い足りないというか、個人的にはさらに深い抒情性とか、ダイナミズムとか、繊細さと大胆さの対比とか、そういった彫りの深い表現が欲しかった気がします。そう感じる一因として全体的にアゴーギクがやや真正直過ぎる気がして、もう少し間とかタメとか、あるいはときには畳み掛けるような加速感があってもよかったかも。特にそれを感じたのはバラードの方で、ソナタはカッチリした明晰なアプローチもありかなと思うのですが、バラードではもう一段の豊かな詩情や歌心を求めたいところです。(ちなみにこの曲は最近では去年の浜コン3次でのCherepanovの演奏が気に入っています。)Schumannの主題による変奏曲も、少し前に聴いたSchmitt-Leonardy盤の方がメリハリに富んでいて面白かったような。あと録音のせいかもしれませんが、フォルテの和音がもう少し深々と響いてくれたらなと思うところがありました。

そんなわけで、このシリーズは全集になる予定のようですが、個人的には買うのはここで打ち止めになりそな雰囲気です。(それでなくても後期小品集は苦手ですし。)ただPaganini変奏曲が出たらやっぱり買おうかな…。