MarshevのProkofievピアノ協奏曲全集

Oleg Marshev

最近聴いたCDから、Oleg Marshev(オレグ・マルシェフ)によるProkofievのピアノ協奏曲全集を。オケはN.Willen指揮のSouth Jutland so.です。

MarshevのProkofievと言えば、私は彼のProkofievピアノ作品全集を高く評価していて、あまり強い個性や尖がったところはないのですが、全曲を通じて技術レベルが安定して高いところが魅力です。Prokofievのピアノソナタ全集を分売で出していく場合、Vol.1は(得意な曲を最初に録音するからなのか)調子が良いけど後になると尻すぼみという例がよくあるのですが(GlemserやP.Dimitriew、Bronfmanなどがその例に入るでしょうか)、彼にはそれが見られません。特に6,7,8番の戦争ソナタはどれも難曲なので、3曲とも高いレベルで揃えるのはかなり至難の業と思ますが、彼の全集はそれが成されている稀有な例の1つでしょう。(実際、2曲まではOKという例は割と多いのですが…。)さらにトッカータや悪魔的暗示もソツなくこなしています。

というわけで高い期待を持って聴いたのですが、印象としてはやや微妙というところでしょうか。もちろん演奏は悪くはないのですが、グッと胸に来るとか、強く印象付けるとか、何回も繰り返して聴きたくなるところがあるとか、そういうところがまだ見つけられないでいます。中心的に聴いたのは2,3番なのですが(4,5番はいまだに苦手です)、こちらとしてはピアノソナタで見せたようなクールでスマート、洗練されたピアニズムを期待していたのですが、2番などは結構表情をたっぷり付けていて、ちょっと「らしくない」感じがしてしまいました。そういう路線となると、これも割と最近聴いたEl Bachaの2番の方がかなり強いインパクトがあったように思います(全集としての出来となると話はまた別ですが)。また全集としては今のところDemidenko盤の方が私の好みです。

というわけで、この演奏の魅力を知るにはもう少し聴き込んでみる必要があるのかもしれません。(その前にこの盤を取り出す気がそんなに起きるかが問題なのですが…。)