Ricercar ConsortのJ.S.Bachカンタータ集

Ricercar Consort

たまには鍵盤楽器以外の話題をということで、Philippe Pierlot(フィリップ・ピエルロ)指揮のRicercar Consort(リチェルカーレ・コンソート)によるJ.S.Bachのカンタータ集(18,106,150番)の感想を。リリースされたのは少し前だったようですが、店内の紹介文句でこれがOVPP(One Voice Par Part: 1声部1人)の演奏だとわかったので買ってみました。

私はOVPPによる演奏が好きで、Bachのカンタータに開眼したのもその昔RifkinのOVPPによる演奏をFMで聴いたのがきっかけですが、OVPPでなくてもなるべく各パートの人数が少ない方がよくて、要するにOVPPのauthenticityがどうのというよりも、一般に「なるべく小さい編成での」「1つ1つの楽器(声)の動きがわかるような」演奏を好む傾向にあるみたいです。OVPPはその後、S.KuijkenやJunghaenel、K.Mallonなど続々と使うようになっていますが、これにPierlotも加わったということでめでたいことです。

前置きが少し長くなりましたが、Pierlot盤の感想ですが、予想以上によいです。収録曲の中で一番有名なBWV106('Gottes Zeit〜')は、同じOVPPでRifkin盤とJunghaenel盤が手元にあったので聴き比べてみたのですが、この中では一番胸にグッときます。Rifkin盤はこぢんまりとして、まるでホームパーティーか何かで聴いているような感じ、アットホームでよいのですが、(昔はそれほど感じなかったのですが、聴き比べてみると)いかんせん歌手がちょっと弱いです。Junghaenel盤はその点歌唱もアクロバティックで上手いのですが、声がちょっと軽めでやや器楽的な感じがします。(彼のモテット集はその上手さが絶品なんですが。)Pierlot盤は表情が豊かで、声に柔らかさ、しなやかさがあり、もちろん各歌手も上手いです。特にカウンターテナーは印象に残る出来です(ここがJunghaenleに対する一番のアドバンテージかも)。

というわけで、彼らには今後もBachの声楽曲をどんどん録音していって欲しいものです。(特にロ短調ミサを期待。)