Glenn GouldのJ.S.Bachブランデンブルク協奏曲第5番ほか

先日の記事で触れていた愛聴盤の紹介で、P.Adler指揮Baltimore室内管弦楽団との共演による'62年のライヴ録音。他の2種のBrandenburgに比べるとテンポがゆったりしていてどことなくマッタリ感が漂うが、彼のハンマークラヴィーアソナタやLiszt編の田園交響曲などと同様、そこが大きな魅力になっている。音質は決して良くないが、ピアノの音が大きく録られているため細かなニュアンスに富み、何でもないと思っていたフレーズが魅力的に聴こえてくるあたり、改めてGouldの音楽センスに感心する。特に左手は、通常のチェンバロ演奏ではもちろん、ピアノ版でもあまり聴き取れないようなフレーズがときに強調されているのが面白い(8:46あたりの左手が特に好きなところ)。なお、あくまでGouldのピアノを聴くディスクであって、ヴァイオリン、フルートほかオケには期待してはいけない。