'03年の浜コンで聴いて以来好感を持っている田村響の3枚目のアルバム。冒頭のイタリア協奏曲は定規で測ったようなキチっとした演奏で、どこかLugansky盤を思い出させる(あれのテンポを落とした感じ)。MozartのK.331のソナタも端正で、第1楽章などはもう少し伸び伸びしていてもよいと思うが、終楽章のトルコ行進曲はアーティキュレーション、デュナーミクとも非常に的確で、現代ピアノによるこの曲の演奏では久しぶりに感心した。ただ目当てにしていたLisztのダンテソナタは期待はずれ。全体的に落ち着き過ぎというか重過ぎというか、急速部分での畳み掛けが不足し、切迫感に欠ける。浜コンのときはBACH幻想曲やChopinのソナタでの攻めに姿勢に強い印象を受けたのだが、今は芸風が変わってしまったのかもしれない。