一昨年のチャイコンで入賞したMoserはこれまで聴いたことがなかったが、聴衆賞を取るなどコンクール時も結構評価が高かったようなので一応押さえておこうということで購入。曲はTchaikovskyからProkofievまでロシア物で固められている。聴いてみると、素直で筋の良い音楽性の持ち主という印象で、何かを強く自己主張をするというよりは、曲自身にその良さを語らせるという感じだろうか。際立った個性は見られないものの、知情のバランスが良い。最後に収められたProkofievは、第1楽章はもう少し鋭さや冷たさがあった方が好みだったが、終楽章で一貫して(終盤の大きな跳躍のところ以外は)テンポがキープされているのはなかなか立派。(跳躍部分でもタメが入らないのはPollini盤くらいなものだけど。)