David Theodor Schmidtの’Bach Reflections’

David Theodor Schmidt [PH07071]

ドイツの若手ピアニスト、David Theodor Schmidt(デイヴィッド・テオドール・シュミット)による'Bach Reflections'と題するアルバムで、曲はJ.S.Bachのパルティータ第6番と平均律第2巻の22番、Shostakovichの前奏曲とフーガから第24番、そしてLisztの「泣き、嘆き、憂い、おののき」の主題による変奏曲。知らないピアニストでも(知らないピアニストだからこそ?)こういうCDを見るとつい手が出てしまいます(^^;)。

パルティータ6番を聴き始めてすぐに思ったのは、これは高橋悠治の演奏に似ているなということ。小気味よいテンポであまり情緒的にならず、明晰な音と歯切れの良いタッチでサクサクと進んでいく、そんな感じです。第1曲のトッカータなど、事前に高橋悠治盤を聴いていたのではないかと思えるほど。音色もあまり変化をつけず、特にボワっとしたような音は使わずに常に輪郭をはっきりさせているところも特徴的で、それでいてサラバンドでは(音色に頼らずアゴーギクで)上手く情感をつけていて、その点はあくまで論理的に攻める高橋盤よりはバランスがよいと言えるかもしれません。平均律の方は高橋悠治は残念ならが録音を残していないので、もし彼が弾いたらこんな風になっていたのかな、と思いながら聴きました。こちらも冷静沈着な演奏。一方ShostakovichとLisztはBachに比べるとややフツーですが、やはり理知的というか感傷的になり過ぎないところが好印象です。ドイツ語でいう(よい意味での)sachlichな演奏というやつですかね。技術的にも非常に安定しています。

というわけで、高橋悠治のBachが好きな私としては、続編が出たらまた聴いてみたいと思わせるCDでした。