Jean Dubeの”Bach...in nomine”

Jean Dube

少し前に取り上げたJean Dube(ジャン・デュベ)の"Toccatas"と同じシリーズで、こちらは"Bach...in nomine"と題してJ.S.Bachに縁のある曲を集めたアルバム。タイトルの意味するところはよくわからないのですが「Bachの御名において」という感じなのでしょうか。作曲家はLiszt, Glinka, Schumann, Prokofiev, Villa-Lobosなど全部で10人。Bachへのオマージュ作品ばかりというわけではなく、Bachを意識して書かれたのかも、くらいの曲も入っているみたいです。

今回はよく知っている曲がLisztの2曲くらいなので、結果としてやはり演奏を云々するというよりは曲を聴くCDになってしまっているのですが、それなりに面白い曲はあったという感じです。Reinken(J.S.Bachに影響を与えた人だそうな)のフーガとか、Mendelssohnの前奏曲とフーガOp.35-1とか、Nielsenのシャコンヌなどが特に印象に残った部類。MendelssohnのOp.35-1は久しぶりに聴きましたが、フーガ後半でアップテンポになりピアニスティックに盛り上がるところなど演奏効果もあって、厳格な変奏曲や幻想曲Op.28くらい弾かれる機会があっても良い感じです。Nielsenは多分初めて聴くのですが、今回の曲の中では最大の収穫かも。近代的な響きの曲ですが伝統的なシャコンヌの形式に則っているのでわかりやすく、抒情的な魅力を湛えています。最後のVilla-Lobosのブラジル風Bach第4番も実は初めて聴く曲で、終曲などは個人的にはもう少しラテン的なノリの良さを期待したのですが、Dubeの演奏はちょっと大人しいかな(こんなものなのかもしれませんが)。よく知っているLisztの2曲について言えば、前奏曲とフーガBWV543は、前奏曲はよいのですがフーガもう少し精緻なタッチや細やかな表情がほしいところ。もう一つのBACHの主題による幻想曲とフーガはなかなかのキレの良さを見せる好演で、個人的にはGrammophoneのeditor's choiceに選ばれたGrohの演奏よりはこちらの方が好みです。