Alexei Sultanovの’98年Tchaikovskyコンクールライヴ

Alexei Sultanov

Alexei Sultanov(アレクセイ・スルタノフ)はそれほど好きなピアニストでもないのですが、先日立ち寄ったCDショップで'98年のチャイコンライヴCDを見かけて、ちょっと興味をそそられつつも既に持っている彼のCDとかぶっている曲も多く、どうしようかかなり迷ったのですが結局買ってみました。曲は1次のJ.S.Bach平均律I-1、Beethovenの熱情第1楽章、Tchaikovskyの四季より10月、ChopinのOp.10-12、ScriabinのOp.8-12、2次がTchaikovskyのドゥムカ、Chopinのソナタ第3番、Prokofievのソナタ第7番。これが彼が弾いたすべての曲のようです(彼は2次落ち)。

聴いてみましたが、期待(?)に違わずSultanov節全開という感じです。Bach(とTchaikovskyの四季)はそれでも大人しかったのですが、それ以外の曲は猛スピードだったり強烈な打鍵だったり、基本的に爆演と言っていいでしょう。聴衆にも大受けらしく2次では曲が終わるたびに拍手と歓声がすごいです。こういう演奏に対しては、テンポがどうとかアゴーギクがどうとか、細かい指摘はあまり意味がない(野暮)ですね。彼の芸としてトータルに受け入れて楽しむか否かでしょう。(ただもう少し瑕が少なかったらなという気はします。)で、個人的に一番面白いと思ったのはChopinの10-12。冒頭和音のあと左手の16分音符のパッセージがこんなに速い演奏は多分初めてです(笑)。もちろん歌心もあって、この曲に限らず彼の演奏を聴いていると、本当に天賦の音楽センスと運動神経だけで弾いているなという感じです。知性はかけらも感じられませんが(笑)。