Tedi PapavramiのヴァイオリンによるD.Scarlattiソナタ集

Tedi Papavrami

D.Scarlattiのソナタをヴァイオリンで弾くという、なんともチャレンジングな試み。演奏はTedi Papavrami(テディ・パパヴラミ)で、私は初めて聴く人なんですがこれまでJ.S.Bachの無伴奏などもリリースしているようです。

興味津々で聴いてみましたが、感想はというと微妙…、というかぶっちゃけ思っていたほど面白くなかったという感じです。相当のテクニックを要する編曲だとは思うのですが、たとえばPaganiniのカプリースのような速弾き系というか、聴いていて爽快感のある技巧、というような曲は少なく、むしろ複数の声部(と言っても多くは2つ)をいかに1本の弓で弾くか、そのテクニックが主眼になっている雰囲気で、確かに感心はするのですが(ヴァイオリンをやっている人ならきっともっと感心するのでしょう)、それなら原曲通り鍵盤楽器を使えば難なく弾けるわけであり、変に問題を難しくしている感もあって、そうなると鍵盤楽器にないヴァイオリン独特の魅力(音色とか歌い方)を如何に出すかが鍵だと思うのですが、そこがもう一歩こちらに(少なくとも私に)伝わってきていない気がします。一応時代を考慮(?)して基本的にノン・ヴィブラートなんですが、個人的にはもう少し開放的な響きやmessa di voceな歌い方など時代奏法的アプローチがあればもっと楽しめたと思うのですが…。またヴァイオリン一丁でのポリフォニーと言えばJ.S.Bachの無伴奏に止めを刺すわけで、Scarlattiのソナタは多声処理が曲の魅力の肝というわけでもないのも痛いのかもしれません。

そんな中で成功しているというか、個人的にいいなと思ったのはK380とK141。K380はシンプルながら味わいがあって原曲の魅力がまったく失われていないですし、K141は今回の中ではPaganini風な爽快感のある技巧が楽しめる感じです。